【No Title】

【入学編】入学式にて
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琥珀side





入学式の新入生総代が終わり、生徒会長の挨拶を残すのみとなった



「(入学式早く終わらないかな.....)」



この日、昼前で学校が終わるということもあり
その後に部活見学に行こうと考えていた琥珀は
入学式やその後のオリエンテーションに興味は持てず
退屈な時間を過ごしていた

しかし、入学式の行事など右から左に聞き流していた琥珀だが
さすがに生徒会長の挨拶は聞き流すことは出来なかった

なぜなら....



「パチンッ、俺様が跡部景吾だ」


「「「「きゃーーーーーー!跡部様ーーーー!」」」」



壇上に上がった跡部が指を鳴らしたことにより
会場中から歓声(ほぼ女生徒)が立ち上がり琥珀の鼓膜を突き抜けた



「(!?うるさっ!?何事??)」



歓声のおかげで我に返った琥珀は、その原因であろう壇上を見上げると

そこにいる人物が今朝出会った青い瞳の持ち主だと気付く


へぇ、あの人生徒会長なんだ....と認識して

また聞き流しモードに移行しようとした琥珀だったが
何故か、生徒会長が琥珀の方に視線を飛ばしている

周りの女の子達は「こっち見てない?」「うそ、嬉しい」
などと言っているが、見ているという優しい視線ではない

もはや琥珀に対してガンを飛ばしているレベルで
視線を送っている

琥珀も何か癪に障ったのか、彼の挨拶が終るまで彼から目を離さず
お互い始終睨み合っていた





入学式も終え、現在は1年生全員教室に戻りオリエンテーションを行っていた
(自己紹介や、明日以降の動きの流れなど)


1年生の教室は1階にあるため
クラス全体から外にある桜の色が見えていた

琥珀はまたもや話半分で聞きながら、その瞳と真逆の薄桃色を見つめていた



「(そういえばお腹すいたな.....
お昼何食べよう)」



今日は学食で食事をしようと考えていたので、お昼のことが頭によぎる

1度考えてしまったら最後、空腹が頭を占領し
余計にお腹が空くというスパイラルに陥ってしまったようだ



「「桜餅食べたいなぁ....」」



はっ、と声が重なったことに気付き、琥珀は声の出処の隣の席に目線をやると
相手も同じように考えていたようで、彼女の方を少し驚いた表情で見ていた



「「フフッ」」



お互い少しおかしくなり、軽く笑いあったあと
小さい声で先程みんなにしたものとは違う意味を込めて自己紹介をした



「霧原琥珀、これからよろしく」


「白鷺由希、こちらこそ」



この先何十年にも亘り関わっていく親友との出会いだったことを2人はまだ知らない





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