【No Title】

【入学編】入学式にて
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珍しく4月の入学式が満開の桜で迎えられた日
二人は同じ光に向かって歩み始めた

光の先はまだ名も色も付いていない真っ白な本のように・・・





「侑士、はよ!」



入学式のためいつもはあるはずの朝練がなく
早めに登校して本を読んでいた彼は不意に肩を叩かれ顔を上げた



「おはようさん
なんや、うちのクラス来るなんて珍しいやん」



忍足と向日は隣のクラスで
普段は朝から向日がクラスに押しかけてくることはない
(朝練がない日はいつも遅刻ギリギリ)

向日がやや興奮した様子で目の前にいて
何か朝から面白い物でも見たかのようだ



「なぁ侑士、例の噂聞いたか!?」



今にもこの場で真上にジャンプしそうな勢いで忍足の方に身を乗り出した

そういえば、と周りのクラスメイトを見渡すと
「見た?」「凄く綺麗だった・・・」などと話し声が多く聞こえてくる



「なんや、例の噂て」



忍足は本に集中して周りの声を聞いていなかったため
周りが話題にしている噂の内容は一切知らない

疑問を口にした忍足に向日が
待ってましたとばかりに噂の内容を口にした



「今年、銀髪青眼で背の高い超美人の女の子が入学したらしいぜ」



青い目と言われれば、真っ先に思い浮かぶのは
彼の部活のトップに君臨するキング

彼の入学時もかなり噂が立ち
しかも代表の挨拶で盛大に時の人となっていた

数日後には氷帝学園男子テニス部の主将の座を獲得するという
偉業まで成し遂げていた

青い目=彼、跡部景吾のイメージがあり
さらに美形ときたら同類かと考えてしまうのも仕方が無いだろう

背が高いのも噂が立つほど目立つ要因にもなっているのだろう



「そらまた目立つ子が来たもんやなぁ」



跡部のような人間が2人にならないことを祈り
軽く向日とその後言葉を交わしてまた本に目を戻した





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