12/21の日記
01:38
勘x♀雷
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人の賑わう休日の商店街。
亜麻色のふわふわのポニーテルが揺れるその後姿をふいに見つけ、急いで人ごみを掻き分けて駆け寄った。
「雷蔵!!」
「わっ、、勘ちゃん、びっくりしたぁ!!」
思わず肩を鷲づかんで呼び止めてしまった為、意中の人物であった雷蔵を驚かせてしまったようだ。
「驚かせてごめん、つい、雷蔵の姿が見えたから。・・・わ!それ、夕飯の買物?すごい量だなぁ、、」
「うん、八百屋のおじさんがいっぱいオマケしてくれたんだ。毎回の事だけど申し訳ないなぁ・・、、」
雷蔵の両肩のエコバッグはパンパンに膨らんでおり、それぞれがネギやら大根の葉っぱやらが飛び出していた。
雷蔵の家は父子家庭なもんで、小学生の頃から買物やら何やらと家事を一生懸命にする雷蔵に昔馴染みの商店街の人々は何かと彼女に親切なのだ。
勿論、そこは雷蔵の人柄によるものも大きい。
いつも愛らしいふんわりとした笑顔をたやさず、普段から礼儀正しい雷蔵は今や貴重な“清純派女子高生”として商店街のオジサマ共の癒しのアイドルでもあるのだ。
そんな彼女は買物の度に過剰な“オマケ”がついて回る、、という事だ。
「雷蔵、二つとも貸して。俺、家まで持っていくよ。」
「えっ、、、わっ、!か、勘ちゃん?!!」
有無を言わさずに雷蔵の両肩のエコバッグを自分の肩へと移動させる。ズシリ、、としたけっこうな重みに雷蔵の両肩が今まで大丈夫だったか心配になった。
「・・・本当に重いから、、悪いよぉ。」
へにゃりとした困り顔で雷蔵が俺をみつめてくる。
困り顔、、というか実際は俺を心配してくれているのだ。
「・・・うん、本当、、めっちゃ重い。重すぎて肩に跡が付くね。ぜったい。」
「でしょう?だから・・・・」
「だから、ぜったいに雷蔵の家まで持っていくからね。俺は幼馴染の女の子がこんな重たい荷物を持っていたって知って、“じゃあお荷物返します”なんて男じゃないよ?」
「勘ちゃん・・・。」
「少なくとも、雷蔵が助かるなら俺は是非にでも手伝いたいな。ね、、?」
勘ちゃんにまかせなさい!!とドン、と胸を叩いておどけてみせれば雷蔵は最初は申し訳なさそうに、、でもすぐに嬉しそうに頬をゆるませて
「勘ちゃん、お願いします。」と、ペコリと頭をさげた。
―――そんな雷蔵がすごくすごく可愛くて、、俺は何だか胸の辺りがぶわわわっと空気が膨らんでるみたいにいっぱいいっぱいな感じになって、、
“雷蔵の事、めっちゃ抱きしめたいっっ!!!!”
・・・なんて思ってしまった。
実際はそんな事しては大変だけど。いやいやいやいや、、、もし雷蔵が許してくれるのならやってしまいたい。
そんな俺の頭の中は既にトロトロになっていて、、無意識に身体が勝手に行動を起こしてしまったらしい。
「勘ちゃん?・・・・どうしたの?」
「へ?・・・あっ、いや、、あわわわ・・・!!」
雷蔵の呼びかけに気付いた時には彼女の右腕を掴んでしまってたのだ。
「・・・・手、手が。」
「手が・・?」
「寒いなぁ、、、って。」
雷蔵のそのもふもふした上着が暖かそうでつい・・、、―と。言い訳になりそうな、ならなさそうなキワドイ所で答えてみた。
しかし怪しさ漂うそれも、雷蔵は全く疑うことなく
「勘ちゃん大丈夫?」
と、心配そうに自分の両手で勘右衛門のその掴んでいた手を取り、包み込みながらさすってくれたのだ。
雷蔵に触れられてるその箇所から一気に熱が生まれ、瞬時に全身へと伝わっていく。
やばい、、また頭の中がトロトロになってしまいそうだ、、・・・・どうしてこんなに、こんなに、目の前の彼女は愛しくて、大切なんだろう、、、。
「・・・・・あのさ、雷蔵、、。家に着くまで俺の手、温めてくれる・・・?」
良かったら手を繋いで・・、、とお願いしてみた。
駄目で元々。いや、きっと雷蔵なら・・・・。
「うん、いいよ!」
案の定、笑顔と共に承諾してくれた。
雷蔵の指先が、俺の指へとそっと重ねられた。あったかくって、柔らかくって、、小さくて細くて、、女の子の手、だ。
・・・・こんなに細い指なのにちょっと触られたくらいで気を張っていないと嬉しさでたちまちその場に立ってられずへなへなになっちゃいそうな威力を持っている。
きっとそんなこと雷蔵は全くわかっていないのだろうけど・・・、、、。
「・・・・なんだか、こうやって手を繋いでると小学生の頃にもどったみたいだねぇ。懐かしいな。」
「・・・う、うん。」
雷蔵の家路に向かうその先で、林檎のように真っ赤な夕日が手を繋いで歩く二人を照らしてくれた。
紅い夕日のおかげで顔の赤みに気付かれずに済んだと、、勘右衛門は心から安堵した。
――本当は、もう一人だけ、勘右衛門以外に頬の赤みに気付かれずに済んでホッとしている人物がいるのは内緒のはなし。
(幼馴染な勘ちゃんと♀雷)
三郎だときっと抱きついてた(笑)
今回は勘ちゃんがカッコよく荷物持ちする所を打ちたくて勘x♀雷になりました。(^p^)勘ちゃんはそれとなく贔屓したくなる。
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