12/27の日記

01:43
鉢x♀雷
---------------

脱ぎっぱなしのジーンズに靴下、シャツやコート等の衣類。
使ってそのまま放置されたバスタオルの山と灰皿からこぼれ落ちるタバコの吸殻と飲み残しばっかりのペットボトルの数々、、。

それらをいつも片付けるのは、いつだってこの僕なのだ。

「・・・もぉ、、三郎め!!なんですぐにバスタオルを洗い場に持って行かないんだよ、、ラグがびしょ濡れだ!!」

一週間ぶりに三郎の暮らすアパートの部屋へ訪れたら、一週間前に片付けたはずの部屋がまた荒れ果てていた。
僕はため息と小言を口にしながらまた同じようにせっせとアイツの汚した部屋を片付けるのだ。


――三郎は、、とてもずるい男だ。
人前じゃあ上手く立ち回ってスマートな男を演じているが、実際は一人じゃあ何もできない甘ったれ坊やなのだ。
僕の事を人前では「雷蔵は本当大雑把で、酷い迷い癖があって子供の頃は私がいなきゃ何も決められなかったんだよ」なんて言うが、三郎こそ今は僕がいなきゃあ何もできない。
確かに大雑把で迷い癖のある僕だけど、この部屋を片付ける時には大いに覆される。
脱ぎ散らかされた衣類は綺麗にたたんで所定の場所へ、、。
使用済みのタオル達はさっさと洗濯機で踊って頂き、吸殻とペットボトルはさっさとゴミ袋につめて玄関先へ出しておく。

そうしてやっと片付いた部屋に、「ふぅ、」と安堵のため息をついてコロコロのクリーナーでラグに絡まっている抜け毛やゴミを掃除するのが最後の仕上げだった。

「・・・・長い。」

クリーナーの接着面に絡みついた、細くて長い黒髪達。三郎の髪は栗色の短髪だ。僕のクセのある亜麻色とも、違う、、、、。

僕はとたんにイライラとした気持ちが溢れ、髪の毛のついた部分を一気に剥ぎ取ってグシャグシャにまるめてゴミ箱へほうり投げた。

「・・・何だよ、三郎の馬鹿・・・。」

三郎は子供の頃からずっと変わらない。
頭が良いがずる賢くて。いつだって自己中心的。リーダーシップも取るけど時々無責任だったり、、気に入らない事があれば重々反抗的で、気に入ったモノには恐ろしい程に依存的な面があって・・・、、

それでも人をたくさん惹きつけて、自分の存在を強く意識づけて誰の心にもするりと入り込む術を知っている。

まるでピーターパンだ。

心の思うまま好き勝手して、遊びたいだけ遊んで。やりたい事をやっている。
そのくせ、、甘えたい時ばかり僕に猫なで声で「ああ、お願いだ、頼むよ。なぁ、雷蔵、、」なんて。

僕はピーターパンに母親役を頼まれたウェンディ、そのもの、だ。

ウェンディは、・・・僕は、、確実に大人になる。
ずっとこのままでいられないのは僕自身がよく判っているのに、肝心のピーターパンはまだまだ時間があるよと、ティンカーヴェルと楽しく遊び回るのだ。

そう、、アイツだけの長い髪したティンカーヴェルと・・。

それでもやっぱり僕は三郎をほっておけなくて、またずるずると世話を焼くんだろう。
そうして僕が綺麗にしたこの部屋で、三郎は黒髪のティンカーヴェルと何食わぬ顔して楽しく戯れるのだ。
それを永遠に知らない振りして、、僕は、三郎への淡い気持ちをずっと押し込めるしかないのだ

「・・・・・・・っ、、。」

思わず溢れ出てきた涙を静かに拭いながら、僕はさっさと帰る用意をした。あまり長居してはいけない。

だって、、今日はクリスマスイブなのだ。ここにいてもし鉢合わせしたら大変だ。ティンカーヴェルはウェンディを嫌ってるのだから。

「(むやみな争いは御免だ、、。それに惨めになるのは僕だけだ。)」





――そんな自暴自棄な彼女は本当は判っていない。

ピーターパンは、、三郎は、雷蔵だからこそすべてを任せて安心しきって甘えてる事に。

そしてもうすぐピーターパンが部屋へと戻ってくる。
泣き顔のウェンディと鉢合わせをし、「誰が君を泣かせた!!ぶん殴ってやる!!」と息巻いてウェンディに「お前だよ!」とビンタを一発食らうのだ。


そうしてやっと、ピーターパンはウェンディの為に大人になっていくのだった。




(幼馴染で大学生な鉢x♀雷)
(・∀・)長い毛は女性ではなく立花先輩のもの(笑)毎週七松や潮江やらな先輩ズに飲み場として占領される三郎の部屋だったり。

前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ