中編色々

□なみだのうみでネコはよりそう
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寂しいと泣くひとを、抱きしめて、抱きしめて。
ただ、「ここにいるよ」って言いたくて。

見つけた秘密に戸惑いを覚え、そして見つめることしか出来なくて。

それが悲しいと思ったのはどうしてなんだろう。
言葉も交わした事のないひとだというのに。





『 なみだのうみでネコはよりそう 』





ある日私は、とてもとても珍しいものを見てしまいました。
授業もない休日の事です。

あまりの天気の良さに私はひとり、ひと気のない裏庭を奥へ奥へと歩いていました。
そうしてそこに、ひとりの男の子を見つけたのです。
空はこんなにも青く晴れ渡っているのに、風はこんなにも気持ち良く吹いてるというのに、男の子は俯いて暗い目をしていました。


その男の子はスリザリンの子で、授業でよく見かける子でした。
彼の名前はレギュラス・ブラック。
頭が良くて、顔も女の子顔負けに綺麗で、クィディッチでは1、2を争う飛び手で、純血旧家の次男坊。
私とはまったく違う世界の男の子だと思っていたのです。


遠目に彼が涙を流しているように見えて、私はどきりと胸が鳴るのを感じました。
男の子が泣く所なんて、初めて見てしまったからです。何か見てはいけないものを見てしまった気がしたけれど、私の足は根が張ったようにそこから動いてはくれなくて……。
気付いたら私は……ネコに変身していました。

小さな頃からどういうわけか、私は動物もどき<アニメーガス>の魔法が使えたのです。


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