中編色々
□なみだのうみでネコはおもう
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勇気を出してみようと思った。
だけど、ホントはそれは勇気じゃなくて。
失敗しないと解ってするのだから、それは周到というんだろう。
だけど、本当の“私”を知って欲しかったのはホントの事。
“ネコ”じゃなくて、人間の“私”。
『 なみだのうみでネコはおもう 』
「好きですっ……!!……なぁーんて、告白するわけじゃないんだから、普通に話しかければ良いじゃん。しかも、向こうも気付いてるってんだから、なんも心配ないでしょ?」
「ちょ、ちょっとマリーやめてよ!」
大広間の片隅で、抵抗するマリーの口を必死に押さえたら、彼女はばたばたともがいた。
抵抗が緩くなってきたなと思ったら、白目をむきかけていたので私は慌てて手を放す。
「死ぬかと思った……」
「ご、ごごご、ごめん〜!」
課題をやっつけながら、先日こんなことがあったのだとマリーに話した。
マリーの言うように、普通に話しかければいいのだろうけど、普通とは一体どういう事なのか。男の子に何を話しかければ良いのか。全く見当もつかないのだから。
「それに、そんなに簡単に話しかけられているなら、最初から動物もどき<アニメーガス>でなんて近づいてないよ!」
「……確かにそうだ」
マリーは納得したように頷いて、ぽつりと言った。
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