中編色々

□なみだのうみでネコはとまどう
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聞き終わると、へぇ、と声を上げる。


「なるほどねぇ。まあ、アンタらしいって言えば、アンタらしいのかもね」


私は何がだろうと首をかしげるが、マリーは「いいの、いいの。気にしなさんな」と片手を振った。

毎日毎日見る貴方は、とても力強い瞳をしているけれど、やっぱりどこか愁いを秘めて。
その瞳の奥にどんな想いが眠っているのか、知りたいと思うの。



ちくん、ちくん……胸が痛い。



夕暮れ時、廊下を歩いていたら、窓から見えた裏庭にレギュラスの姿を見つけた。
私はその後を追いかけて、裏庭へ走る。
レギュラスは、やっぱりあの場所で座り込んで、項垂れているようで……。

ぎゅっと心臓が潰れるみたいだった。

とたとたと小さな足音を響かせて、私は貴方の側へ走り寄った。


(こんばんは!)


項垂れた顔を少しだけ上げて私を見つめる瞳に、涙の雫が光る。
ねえ、泣かないで。
側に、居るから……。


「また会ったね」


差し出された手をすり抜けて、すりりとその頬へすり寄った。
そうしてその涙をぺろりと舐めとる。


「慰めてくれるの?ふふ、ありがとう……」


途端にぎゅっと抱きしめられた。
驚いてすり抜けようとしたら、そっと彼が呟くのが聞こえて……。


「少しでいいんだ、こうしていさせて……」


心音が跳ねあがる。
体温が上昇する。
息がうまくできなくて、どうしたらいいのかもわからない。


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