中編色々
□なみだのうみでネコはなやむ
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毎日貴方と過ごすようになった、放課後のひととき。
たとえそれが、不毛な恋なのだとしても、私にはその時間が何よりも嬉しくて……。
幸せで……。
だけど、痛かった。
あれ以来彼は、私に色んな話を聞かせてくれた。
ほとんどが家の事だったり、お兄さんの事だったけれど。
「最近、視線を感じるんだ」
(え?)
横に丸くなった私を、いつものように撫でていたレギュラスが、ぽつりとそんな事を口にした。
「いや、決して嫌な視線ではないんだけれど……」
困ったような照れたような複雑な顔をして、人差し指で頬を掻くレギュラス。
私は小さく問い返しの意味で鳴き声をあげた。
「気付いたのはずっと前なんだけど、気のせいだと思ってて……。でも、やっぱり気のせいじゃないんだ。銀色の髪をツインテールにしていて、瞳は綺麗な琥珀色……。穴熊寮の黄色いネクタイと良く合ってる」
(……それって―――)
ふいにこちらを見たレギュラスが、「君の毛並みも瞳も、彼女にそっくりだね」とはにかむように笑ったから、確信した。それって、私のこと……。
バレていた……いや、それはあんなにも毎日毎日見つめてれば、嫌でも気付くのかもしれないけど……。
「話しかけてみたいけど、もしもその視線の先が僕じゃなかったらって考えたら、恐いよね」
(そ、そんな事ないよ!)
あ、でも、話しかけられたら、私逃げるかも……。
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