中編色々
□なみだのうみでネコはおもう
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「諦めた方が良いかもねー?」
「だ、ダメー!」
「そんなこと言っても……双方向で“話しかけたい”“でも、嫌われるかも”っていってりゃアンタ……」
そんな事はわかっているから、何とかしたいのに。
このもどかしさを、解って頂けるだろうか……。
その時、ふと視線を感じた気がしてそちらを見れば、多分この時初めて貴方と“私”の視線が交差した。
夕暮れ時の陽光がステンドグラスを染め上げる。
大広間内は幻想的な美しさに包まれた。
それは一瞬の出来事だったかもしれない。だけど、永遠のように感じる。
視線が交差しただけ。
ただ、それだけ。
だけどそれは、初めて貴方と“私”が繋がった瞬間。
どちらからともなく視線を外し、私はへなへなとテーブルの上に突っ伏した。
顔から火を拭きそうだよ。
どうしてこんなにも嬉しいんだろう。
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