中編色々

□なみだのうみでネコはおもう
2ページ/3ページ




「諦めた方が良いかもねー?」

「だ、ダメー!」

「そんなこと言っても……双方向で“話しかけたい”“でも、嫌われるかも”っていってりゃアンタ……」


そんな事はわかっているから、何とかしたいのに。
このもどかしさを、解って頂けるだろうか……。
その時、ふと視線を感じた気がしてそちらを見れば、多分この時初めて貴方と“私”の視線が交差した。


夕暮れ時の陽光がステンドグラスを染め上げる。
大広間内は幻想的な美しさに包まれた。


それは一瞬の出来事だったかもしれない。だけど、永遠のように感じる。
視線が交差しただけ。
ただ、それだけ。



だけどそれは、初めて貴方と“私”が繋がった瞬間。



どちらからともなく視線を外し、私はへなへなとテーブルの上に突っ伏した。
顔から火を拭きそうだよ。
どうしてこんなにも嬉しいんだろう。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ