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□ひみつのわんこ
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大学生キョン×わんこ古泉









俺は普通に今まで通りの生活をしていただけだ。
しかし、何故こうなったんだ。
もう一度言おう。

どうしてこうなったんだ!




「・・・・・」
俺の目の前には、寒空の下で寝ころんでいる男。酔っ払いか何か知らないが、俺の住んでいるアパートの入口で寝るのは勘弁して欲しいと思った。
冬が近いこの寒さの中、死にはしないだろうかと思い、顔を覗き込んだ瞬間に。
「・・・・ん?」
その男が、目を覚ました。


柔らかそうな栗毛。
ふと合った茶色の眸。
そして、俺に向けられた胡散臭そうな笑み。
その男は、見たこともない整った顔をしていた。
「おいお前だい」
「僕・・・寝てしまっていた様ですね」
おいお前大丈夫か?
そんな俺の言葉を遮り、その男は立ち上がった。
背が高く、むかつくぐらいに長い足。
正直俺はむっとしていたが、言葉にはしない。
「・・・・なんだお前」
「すみません、こんな事を言えば驚かれるかもしれませんが・・・・」
俺の言葉を無視し、そいつは口ごもりながらも微笑んで再び口を開いた。


「貴方・・・僕を飼いませんか?」


あまりの笑顔に、俺は唖然とした。
そして、その馬鹿みたいな言葉に何も言えない俺に対して、そいつはまくし立てる様に言う。
「噛みつきませんし、吠えません・・・躾もだいぶなっていると思います!」
「犬か何かか!」
やっと返事ができた俺に、そいつはやはり笑顔で。
「ええ!犬だと思ってくれて結構ですので・・・僕を飼ってくれませんか?」
「は!?何言ってんだ!」
「お金はしっかりと払います!」
笑顔のそいつは、必死に俺に頭を下げてくる。
「そんなこと言ってもな・・・」
「お願いします!」
流されやすい俺。
ああ、情けないが・・・こんなに必死にお願いされてしまえば一日だけなら、などという考えが俺の中に生れてしまう。
「・・・・・・一日だけ、なら」
ぼそ、と呟いた。
すると、やはりそいつは笑顔で。


「お願いします!飼い主さん!」

飼い主じゃない!
そう言って、俺がそいつの頭をはたいたのは言うまでもない。

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