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□cry devil
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子悪魔キョン×ツンデレ(?)古泉










「なあ、古泉」
「・・・・なんですか」


まただ。
彼は、部室で2人きりになるといつもこうして妖艶に微笑んでこう言う。
「古泉、好きだぞ?」
お前は嫌いだろうがな。
笑って言う事ではないでしょう、なんて。
言えるわけがなかった。


「あー・・・・古泉は、俺のどこが嫌いなんだ?」
「・・・どこも」
「どこもかしこも?・・・そうかー・・・うん」
「・・・・・」
「どうかしたか?」
「・・・どこもかもしこも、ではありません。どこも嫌いではないと言」
「関心がないってことか」
「・・・・・」
「先週の木曜日もこうやって二人きりになったな。その時聞いたら、お前は好きじゃないって言ったぞ」
「・・・・はい」
「好きでも嫌いでもないってことか・・・」
「・・・・・」
「そうか・・・・はは」
「・・・・・」
「・・・・せめて、少しはお前の記憶に残るぐらいには・・・俺に関心を持って欲しかったな」
「・・・・・」
「・・・・ごめんな」
「・・・・・」
「・・・・好きになって、ごめん」



ごめん。



そう言い、彼は鞄を持って立ちあがって笑った。
「・・・っか、」
「じゃあな」
帰るのですか?
僕の言葉を聞かずに。



そんな。
彼はもう僕を好きではなくなるという事か?
僕だけに見せる彼は、居なくなるのか?
『古泉』


「・・・・っ、」



好きだぞ。
そう言って微笑んだ彼は、なかった事になるのか?


「・・・・キョン君!」
がたん、と派手な音を立てて椅子が倒れた。
それがどうした。

机の上のオセロ盤がめちゃくちゃになった。
それがどうした。

僕は、凄まじい勢いで彼を追いかけて走った。




好きです。
あなたの言葉に答えられなかったのは、僕がそれを許されていないからです。
僕にはその資格がない。
そんな事を考えて。
だが、それは神様が怖かったからではないのか?
彼の笑みを見てそう思った。
好きだぞ。
そう言った彼。
ごめんな。
好きになって、ごめん。
そう言って微笑んだ彼。
息も出来なかった。





「・・・・・!キョン君!」
そうして、見つけた。
彼は階段に座り込んでいた。
「・・・・っ、こい・・・・・」
ぽろぽろと涙を流しながら。
不謹慎ながらも、その姿がこの上なく愛おしく思えた。
そうして、僕は彼を抱きしめた。




第一声は決まっている。
彼への想いを。
まだ今は。
このまま抱きしめたままに。










      ◇◇◇





「好きだぞ、古泉」




そう言った瞬間の古泉の表情を見てほくそ笑んだ。
ああ、あと少し。
そう思って、もう一度微笑んだ。


ああ、早く。
「ごめん」
堕ちて来いよ。





好き。
だから、お前も早く言え。
お前の言葉が待ち遠しい。
でも、きっと今日は言ってくれるだろう。
そう思いながら、後ろ手に部屋の扉を閉める。







「どこに居たら古泉が見つけやすいかな」






ああ、なんて楽しい。






cry devil
泣いている悪魔は信用するな。
信用するなら、そのまま堕ちろ。






「・・・・好きです」



ほら、な。
これで、お前は俺のもんだ。









*終わり*

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