Song Room

□Memory 青春の光(♂高×新)
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その日は眠れなかった。
家に帰ったのは日付が変わる直前で。

天井を見上げてぼーっと考える。
終わっちゃったんだって。
私と愛斗…。

私と愛斗の関係全部、砕け散っちゃったんだね…。


「…っ…」


改めてその事実を認識したら、涙がぽろぽろ溢れてきた。
今まで愛斗のせいで泣いたことは何回かあった。

でも、それは喧嘩したからだとか、そんな理由。
だから、ここまで悲しい涙を流したことなんてなかった。


「…ばかっ…愛斗…」


溢れてくる涙は止めれなくて。
気づいたらもう、朝になってた。

これ以上泣いたら体の水分が全部なくなるんじゃないかって。
そんなときに、ようやく涙が止まった。

泣き終えたら、頭の中が急にすっきりして。
なぜか、今の状況を冷静に考えることができた。


「…そうだ。」


もう、愛斗と私は二度と、一緒になることなんてないんだ。
そう考えたら、自然に手が伸びて、愛斗からもらった部屋の合鍵を握り締めてた。


「…これ、返さないと。」


合鍵を返して、メモを渡して、終わりにするの…私と愛斗の関係を。
さようなら、愛斗…。





「あ、垣さんやっ!」

「…?」


また別の日。
私が一人で散歩してたら愛斗に会った。

会うなり愛斗は私に抱きついてきて。
久しぶりって喜んでた。

…嘘なんでしょ、その笑顔。
喜ぶのっておかしいじゃない。

愛斗には別の彼女がいるでしょ?
私はもう、違うんでしょ?


「?…垣さん、元気ないやざ。どうしたんや?」

「あ…ううん。」


こうなったのはあなたのせいでしょ?
そんな優しい顔で私に聞かないで。
偽りの笑顔なんて見せないで…。


「愛斗、お仕事は?」

「今からやよ。やから、もうバイバイせな。」

「…うん、頑張ってね。」

「また、会う日があったら連絡するからの。」


笑って去っていく愛斗。
きっと、愛斗は今日、気づくはず。

家のテーブルにおかれた合鍵と、私が書いた長いメモに。

さようなら…私の愛した人。



家に帰って、これで愛斗と私の関係は終わったんだって理解した。
きっと今頃、愛斗はメモを読んでるのかもしれない。

ねぇ、愛斗、メモは破って捨てていいから。
でも、最後まで読んで。

私の気持ちとか、今までの思い出とか…たくさん書いてあるから。
だって、あんなに優しく抱かれたの、初めてだったんだよ?

あんなに優しい人、今までに出会ったことなかったから…だから、愛斗のこと、大好きになれたんだよ?

愛斗はきっと、私のこと、忘れるかもしれない。
でもね、ひとつだけ忘れないで。

あの日、隣にいた女の人のこと、私みたいに愛さないで…お願いだから…。

愛斗…大好きだったよ。



END

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