Collabo Room

□PANIC LOVE!?(♂田×亀)*8話*ウィン
1ページ/3ページ

「ん…」


もやがかかったような視界。
うっすらと見えるんは、見慣れた俺の部屋の壁で。

…ま、当然やけど。
今日も学校行かないかんっちゃねぇ…。


「…ふぁ…」


けだるい体を起こして背伸び。
また閉じそうになるまぶたをごしごし擦ってこじ開けて。

…あー、でも、まだ眠いっちゃん…。


「…もすこし…」


あと5分…いや、3分でもいいっちゃん…寝かせてほしいと…。
眠気に誘われて、起こした体を再びベッドへ…。


「あ〜、お寝坊さんはっけぇんw」

「…え…;」


朝やっていうのに明るい声が届く。

…そういや、すっかり忘れとった。
こいつがおったっけ…。


「もぉ、絵里の旦那様は寝るのが好きですねぇw」

「…うるさか…」


ごろりと寝返りを打つとどすんっ…って言ったら失礼やけどさ、そんな音がするぐらいの勢いで俺の上に乗っかるこいつ。

…一応、俺の、未来の嫁さん?


「もー、家事を全部奥さんに任せるのはどうかと思いますよぉ?」

「んー…」

「ほらぁ、早く起きないと学校も遅れちゃうし、絵里が作ったご飯も食べれないよ?」

「うー…;」


学校に遅れるんは別にいいと。

…絵里の、作ったご飯…。
くそぉ…食いたい、バリ食いたいとっ…でも、でも、眠気がっ…。


「…今起きてくれたら、絵里ちゃんのちゅーのおまけ付きぃw」

「?!」


…目、覚めたし。
けど、いきなりココでがばっと起き上がったらさ、なんか、分かりやすすぎやろ?

…へ、平生を保って…起きよう。


「あ、起きたぁ。やっぱ男の子ですねぇw」

「う、うっさい//!」

「うへへぇ、でも起きてくれたからちゅーしたげるw」

「…っ…//」


向かい合って俺の頬に両手をぴたっと当てて、絵里の柔らかい唇が俺のに触れた。

うわっ…この感覚、マジでやばいっ…//


「はい、じゃ、ご飯食べよ?」


スキップしながら部屋を出て行く絵里。
唇に残る温もりを確かめるように指で撫でてみる。

…これが、日常のことに、なるんか…。


「…にししw」


うれしくて笑ってしまった。

…って、おいおい。そんなことしよぉ場合やないって。
絵里の作ったご飯食べんと。

癖の付いた髪を気休め程度に整えながら、れなはいい香りのするリビングへと足を運んだ。





絵里のうまい朝食を食って、二人で家を出る。
変なスキップしながら玄関を出る絵里。
その後に続いてれなも外へ。


「ねぇ、れーな。」

「ん?」

「二人乗りしたい。」

「…は?」


玄関に出てガチャガチャと鍵をしめよったれなに、絵里は唐突にそんなことを言ってきた。

…二人乗りって。
あの、亀井さん、それ法律違反なん知っとぉ?
てか、れな、自転車通学やないっちゃけどさ…。


「乗りたい。」

「いやいや、あの、いろいろダメやけん。」


自転車通学の登録してないし、二人乗りはアウトやし、それに自転車とかずっと乗ってないけん危ない可能性あるし。


「…ダメ?」

「……はぁ。」


ほれた弱みっていうんはこういうことか。
むぅっと唇を尖らせた絵里の表情を見てため息をつく。

玄関の扉がきっちり閉まったのを確認して、自転車とれなを交互に見比べる絵里の手を握る。


「…乗れ。後ろ。」

「!うへへぇ、やったーっ!!」


絵里はその場で飛び跳ねて、れなの自転車のかごに荷物を突っ込んだ。
れなも自分のを突っ込んで、しばらく使ってない自転車を押す。
…ん、パンクはしとらんね。


「っしょ…絵里、乗ったと?」

「ん、乗ったよ?」


れなが自転車にまたがると同時に、絵里は荷台に腰を下ろしとって。
確認のために声をかけると、絵里はにっこり笑ってれなの腰に腕を回してきた。

…なんか、こういうシーンあったなぁ、女子が見よぉ漫画とかにさ。


「?れーな?」

「…あ、おぅ。じゃ、行くとよ?」


自分が漫画のワンシーンみたいなことしよるって思うとちょっとうれしかった。
…しかも、絵里とやし…w

と、そんなことを考えよぉ場合やなくて。
ぐいっとペダルを踏み込んで勢いよく道へと飛び出す。
早朝なのもあって車も少ないし、これならなんとか学校着けるかいな。


「わーっ、超風来る、超風来るよぉw」

「ちょ、絵里!おま、手離すなって!」

「だーいじょーぶだってw」


坂道をしゃーっと駆け抜けると、ものすごい風が吹き付けて。
絵里はうれしそうにその風を浴びて笑う。
…おかげでバランス崩しそうったい;


「んー…w」

「…楽しそうやね、絵里。」


坂道を終えて、普通の平坦な道に。
安全運転を第一に、ゆっくりかつしっかりペダルを踏む。

少し余裕ができてきて、気持ちよさそうに風を浴びよぉ絵里のほうに声をかける。


「うへへ、超楽しいw」

「それはよかったったい。」


絵里が楽しんでくれるのが何より。
言葉と同時に腰に回された腕に力がこもって、ちょっとドキッとしたんは内緒ったい//

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ