Song Room

□すき焼き(♂亀×田)
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「ママ、用意ちゃんとできとぉ?!」


バタバタと階段を駆け下りて、一階におるママに話しかける。
今日は家族皆そわそわしとぉ。

やって…れなの、彼氏がくるけん。

れなはもちろん、パパもママも、れなの妹も皆そわそわ。


「ママ、ちゃんとできとぉと?」

「何言よぉと、れーな。まだ準備の最中ったい。」


…そんなんで間に合うと?!
今から準備って…来てしまうっちゃよ、絵里が…。

冷蔵庫の中をガサガサあさって、机にあるメモ帳に何か書きよぉ。
買わないかんもんを書きよぉみたい。


「肉…ねぎ…糸こんにゃく…」


材料から考えると、今日の晩御飯はすき焼きやね。
れな、お肉好きやし。

あ…でも、絵里の前でバクバク食べよったらいかんっちゃね。
でも、すき焼き食べたいし…。

ま、えぇよね、今日ぐらい。
今日は絵里が来る日なんやけん。
こんな日はすき焼きやろ?おめでたいし、テンション上がるし。

プルルルル。


「?電話っちゃ。」

「れーな、出てき。」


忙しいママにそういわれて、れなは電話を取りに走った。


「はい、田中ですけど。」

『あ、れーな?』

「!え、絵里?!」

『そぉ、僕。』


電話をかけてきたんは、今、れなの家族全員をそわそわさせとぉ原因の絵里やった。

あれ?れなん家来るん、もうそろそろのはずやろ?
何でいまさら電話してきとぉと?


「ど、どうしたと?」

『ん〜、あのね、今、どうしてるの?』


そんなん聞くために電話してきたと?
今…んっと…。


「皆、そわそわしとぉ。れなもやけど。」

『あ〜、それはごめんね、僕のせいでしょ?』

「え、絵里が謝ることなかよ!てか、そんなこと心配しとぉと?」

『そんなことじゃないよぉ。あ、後ね、ちょっと電車乗り過ごしちゃってさぁ。』

「…は?」

『うへへ。だから、ちょっと遅れちゃうかもしんないから。そう伝えておいて。』

「あ…うん、分かったと。」


電車乗り過ごすとか…やっぱ、絵里はアホやね。
でも、そんなことでわざわざ電話なんかかけんでも。
気になるんかいな?

あ〜、でも…今から電車に乗ってれなん家来るまでに、どれくらいかかるっちゃろか?


「ねーちゃん、どくとっ!」

「へ?おわっ?!」


叫び声がして振り向いたら、れなの目の前を猛スピードで駆け抜けてく妹。
手にはメモを持っとって。

サンダルをさっと履いて外に飛び出す。
あ、買い物か。
買い忘れたもんを買いに行くっちゃね。

妹の背中を見送ってリビングに戻ったら、パパが新聞を読みよった。
毎朝この光景は見るけど、夕方にはあんまり見ん。
ねぇ、パパ、本当に新聞読んどぉと?

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