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□泣いちゃうかも（田×亀）
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「ね、れーな…」
「ん？」
「昨日、愛ちゃんと仕事に行ってたんだよね？」
「そうっちゃよ？」
「…ホントに？」
「ホントっちゃよ。気になると？」
…ほら、また笑って返事した。
そうやって返事するときって、ウソつくときだよね？
顔には出ないようにしてるけど、絵里には分かるんだから。
「あのさ、れーな？」
「ん？」
「…あの、あさって…」
「あさって？」
記念日なんだよ、絵里とれーなが付き合い始めて二年目の。
あさって何があったっけって顔してるけど…忘れちゃったの？
「あさっては天気、悪いらしいっちゃよ？急に寒くなるって言いよぉし。」
「…そう、なんだ。」
「だけん、ちゃんと暖かくしとくっちゃよ？」
優しく言ってくれるれーな。
ねぇ、あさっては一緒にいてくれないの？
暖かくしとけって…まるで、れーながその場にいないみたいじゃん…。
これって…絵里、フラれちゃうのかな？
「あ、そろそろ帰らんと。」
「え…」
「今日、またこれから仕事やけん。」
立ち上がって上着を羽織るれーな。
…一時間も経ってないよ、れーな。
絵里と一緒にいたくないの？
…また、絵里、一人ぼっちなの？
「明日も仕事あるけん、ごめんね？」
「…ううん、頑張ってね。」
明日も一人ぼっちか…。
そうなんだよね、絵里、これから一人ぼっちになっちゃうんだ。
「そんな悲しい顔せんで？」
ぎゅって絵里を抱きしめるれーな。
こうやってしてくれるのも、あと、どれくらいなんだろう？
いっそ…何にも気づかないふりして、ずっと抱きしめられてようか…。
「じゃ、またね、絵里。」
「…うん。」
ちゅって絵里のおでこにキスして、家を出て行くれーな。
…優しくしてくれてるのは分かってる。
けど、その分辛いんだよ？
優しすぎるから…。
「…れーな、行かないで…」
むなしく響く絵里の願い。
そうやって祈ったけど…れーなの心は、どんどん絵里から離れていっちゃうね。
れーなが読んでた雑誌が無造作に床に投げ捨てられてた。
ぱっと拾って表紙をみたら『フラれるのが怖いなら、いっそのことフってしまえっ！』ってタイトルが。
…そうだよね。
れーなから言われるのが怖いんなら、絵里からお別れ言えばいいじゃん。
でも、それができないのは分かってる。
だって…絵里、れーなのこと好きだから。
れーなと話してる最中に、何度も何度もタイミングをみてたけど…きっと泣いちゃうから。
だから、言えないの。