企画部屋

□バレンタイン1週間前
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バレンタインなんかこの世から無くなればいいのに!とイギリスは今、痛いほど世の中のモテない男共の気持ちが分かった。
普通に貰う分には良い。
こう言ってもなんだが、俺は何もしてなくても女の子から大量に貰うので困ったことは一度も無かった。

でも今は違う。違いすぎる。
俺が何故かチョコを渡すんだ。
そんなことをアイツに言ったらきっと泣いて断りそうだけど。
今まで一度としてチョコなんて作ったことも無いのに本当に作れるのだろうか。
不安が脳裏に過ぎるが、まあ気にしないでおこう。


作れるかどうかは問題ではない。
要するに気持ちの問題だ。
いや、そもそもアイツに愛情の入ったチョコを渡す必要があるのだろうか。
うーん、と悩んでいると偶然イタリアの顔が頭に浮かんだ。

「そうだ、アイツなら料理も上手いし何か良い方法を知ってるかも。」

思い立ったら吉日だ。携帯を手に取って最近登録したイタリアの所を探した。

電話をするとすぐに陽気な声が聞こえた。

「やっほー、イギリスー?なにー?」

「ああ、ちょっと今俺の家に来て欲しいのだが。」

「ヴェー?何か悩みごと?」

「まあそんなもんだ。」

「いいよ。今から行くね―。」

この間まで怖がっていたイタリアだが、最近なぜか怖がらなくなった。
イタリアによると、何か表情が柔らかくなったと言うのだが俺にはよく分からなかった。
最近変わったといえば、アイツと付き合った位だが・・。
もしかしてそれが原因なのだろうか。
そうすると何か癪だな。
よし。今度会ったら一発殴ってやろう。
理不尽かもしれないって?アイツと俺にはそれくらいがいいんだ。


* * * * * * * *

しばらく経ってイタリアが家を訪ねてきた。
事情を説明すると、イタリアは笑顔で答えてくれた。
まるで花が周りに飛んでそうな笑顔だった。

「えーっとね、まず、バレンタインってね、うちではすべての神の女王であり、家庭と結婚の神であるユノ様の祝日なんだよー。・・・・・」

イタリアの話をまとめるとこうだ。
あいつの家では昔2月15日、つまり女神ユノの祝日の次の日に豊年を祈願するルペルカリア祭というのが始まるらしい。

当時若い男たちと女たちは別々に生活していたらしい。
祭りの前日、娘たちは紙に名前を書いた札を桶の中に入れることになっていた。
翌日、男たちは桶から札を1枚ひいた。ひいた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていたらしい。
そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、そして結婚した・・・・というのだが。

俺にはイタリアの熱弁はあまり頭に入ってこなかった。
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