デュラララ
□もう春だよ
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「いーざーやーくん?池袋にはもう来るなって言ったよな?」
臨也が池袋に来ると決まってこのセリフを聞いた。
毎回と言ってもいい。
断言できる。
「ん?なんかいつもと違う?」
「あー、気づいてくれたー?そう、コート脱いだんだぁ。もう春だしね!」
臨也は嬉しそうな顔をして言った。
静雄は気がついた事を言っただけなのに、これだけ嬉しそうな顔をされれば、少しだけだが殴りたいと思う気持ちも弱まった。
「うぜぇ、テメェにそんな顔似合わねぇんだよ。」
「またまたー。今更何言っても一緒だよ?
だって、一瞬だけだけど顔、赤くなったもん。」
臨也はまた笑顔を見せた。
どうやら、静雄の照れ隠しがバレたらしい。
「ちっ」
思わず舌打ちするほど恥ずかしかった。
「うわっ、ひどっ・・・・くしゅっ」
臨也がくしゃみをした。
春と言ってもまだ3月。
寒いのは当たり前だ。
「あー、しゃーねーな。ホラ、こっちこい。」
そう言って静雄は臨也を路地裏まで連れ込んだ。
「え、何すんの?やめてよ、こんな場所でするとか・・・」
「は?何言ってんだ?クソ蟲は黙ってろ。」
静雄は臨也を抱きしめた。
「え!?ちょ、何してんの?シズちゃん?」
「寒いんだろ?暖めてやってんだから、静かにしとけ。」
それは静雄のデレと言っても良かった。
できるだけ抱きしめる力を加減して。
臨也に負担をかけないように。
ーーそう、それはまるで恋人を抱きしめるかのように。−−