リレー小説
□学園日和
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学校にチャイムの音が鳴り響いた。
今日は出張中の芭蕉先生の代わりに竹中先生がHRをする。
…………筈だった。
あろうことか竹中先生は遅刻をしてきたのだ。
HR終了の時間3秒前に、いつもより濡れた美しい金髪を頬にくっつけてやってきた先生は
「すまなかったね。今朝鯖の刺身に当たってしまって」
といつも通りの爽やかな笑顔でいった。共食いにはなるのだろうか?それより朝食に刺身を食べるのはどうなんだろう。
僕がはぁ、と溜め息をついた刹那、隣の席の徳川家康が勢いよく立ち上がった。
大きな音を立てて倒れた椅子も気にせずに彼は叫ぶ。
「先生!私のおやつのバナナが小野君に盗まれました!」
またか。家康は毎日朝のHR前まで隣のクラスの服部半蔵のところに遊びに行っている。
その間、彼の鞄は、バッチリ中が見える状態で放置されている。よくそこからおやつが見えているので、太子や格さんに取られたりするのだ。
………ん?あれ?
「家康…今、なんて…」
「だから小野、お前バナナ盗んだだろ?早く出さないとママゴリラも泣いちゃうぞ!」
「冗談!」
僕がははっと笑ってみせると前の席の太子がぐいっと上半身をそらせて上目でこちらを向いた。普通に振り返ればいいのに。
「冗談なんかじゃないぞお芋。自分の机の中を見るでおま!」
太子に言われ、僕は机の中に手を入れた。
手にぬるりとした感触。
これは────
「バナナの皮…?」
とある月曜日の朝、
容疑者Iは目を疑った
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