リレー小説
□一刻も早く連れていけ
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せっかく午前中で授業が終わるのだというもんだから、カラオケにでも行こうかと考えていたのに。
バタバタと廊下から壮大な足音が響いてくる。
何事だろうと振り返ろうとしたその時に、嫌でも誰だかわかる掛け合いまで響いてきた。
「犬には普通パンと牛乳とか普通のものをとりあえずあげるでしょう!!?お腹壊したらどうするんだ馬鹿!!」
「ちょっおま馬鹿とは何だ馬鹿とはー!!お芋のくせに!!」
…あぁ、これ、確実に俺のとこに災難が降り掛かってくるなぁ。
やばいな。面倒くさい。
教卓の下に潜りこむ前に、ガラッと盛大な音を立てて教室のドアが開く。
「閻魔ぁぁぁあぁあ!!!」
バタン!!おあまぁ!!ぐしゃっ!!
何か不可解すぎる効果音も交えて、クラスの全視線が俺に向かう。
いっこだけ言わせて。
俺、何もしてない。
「な、何なになんなのどうしたの」
「閻魔!いぬ!!バナナ…っていうかどこ!!?」
「は!?何語!?」
「閻魔、閻魔、」
ごめん。
先ほどぐしゃっという音が出てた太子はそれだけ告げると、ぱたんと倒れてしまった。
やっぱりぐしゃっが効いたのか…
「太子ぃぃぃいぃ!!」
「閻魔ぁぁぁあぁあ!!質問に答えて下さい!!」
「さっきの質問になってなかった!!」
「だから犬!!何で拾ったんですか!!どこにいるんですか!?」
妹ちゃん、さっきバナナがどうのとか言ってなかったっけ?というのは置いといて。
「いや、俺知らな」
「とぼけないで下さい」
「隠したの太子だもん!妹ちゃんそんなに犬好きだっけ?」
「アホか。僕はもう太子に振り回されたくないだけです」
さぁ、一刻も早く連れていけ
俺は知らないっつってんのに、誰だってそうだろう、
今の彼の表情を見れば縦に頷く事しかできなかった。
「太子の事ですから、多分体育館の裏でしょう」
「うわ!曽良!いつのまに?」
「つかのまに。」