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□1話。−ことの始まり
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夕方に帰るのもたまには良いかなぁなんて、感慨深くなってみたりしている私。こんにちは、或いはこんばんは。初めまして、朔野珠樹ことこの物語の主人公です。主人公なんて言っちゃいましたが特に可愛い訳でもなく、況してや特殊スキルも有る訳がなく、平々凡々な女子大生である。好きな人が居る訳でもなくときめきも最近ではご無沙汰な毎日に、女としてどぉよなんて思ってみたりもするが、そこはやっぱり悲しい現実で、人恋しいこの季節にも関わらず絶賛独り身中だ。駅で見かける高校生カップルがなんだか羨ましいぞ、こんちくしょうめ。
別に良いんだけどね、どうせ恋人出来たって煩わしいだけだし。とか言い訳じみたこと言ってみる。なんて、こんなこと考えてる時点で全てにおいて寂しい子だけどね…!ちぇッなんて思いながら家へと向かう。
話し声が聞こえてきたかと思うと、正面からは高校生野球男児が数人歩いて来る。
「こんにちは」
ぺこりと、それでも礼儀正しく挨拶してくれたのはお隣様の長男君で松崎さんちの宏樹君。すっかり正統派スポーツマンらしくなっちゃって…この間まで小学生だったのに。ってこれじゃあ本当に近所のおばちゃんだ。ちわーっと、宏樹君に続いて周りの子達も挨拶をしてくれるのに対し私の方も学校の教育の賜物か、笑顔をのせた挨拶を返した。
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