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□2話。−腐れ縁
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−Piriririri…、
『もしもしタマ。今日って午前中に一コマだけだよね、授業。買い物付き合って欲しいんだけど。』
今日…は木曜日だから委員会で遅くなる日か…
「うん、良いよ。じゃあいつもの改札前で。」
『ありがと。じゃあ又後でね。』
「はーい。」
そう言えば那智と帰るの久し振りかも。あ、紹介が遅れました。那智こと冴間那智とは腐れ縁の仲で小学生の時に那智がこっちに引っ越してきて、そのまま中高と同じ。流石に大学は違うが違うと言っても結構近くに在るもんだから、こうして二人で帰ることはよく有るのだ。…あの日までは。

「なんか、久し振りだよね。珠樹と放課後遊ぶの。」
「そうかな〜」
やっぱりこの話題きますよね…判ってたけどもさ。那智察しが良いし。
「先月入ってからだよね、珠樹が放課後直帰しだしたの。」
「そうだったかな〜」
自分でも判るくらいに視線が明後日の方を向いている。すると突然ガシッと腕をつかまれる。横を見るとそれはまぁ素敵な笑顔で喫茶店を指差してる那智が。親指で差しちゃってるよ、那智様…
「(珠樹が私に)つもる話しも有るだろうし、入ろっか。」
「……はい。」
こんな笑顔の時の那智には逆らっちゃいけない。なんだか浮気がバレた時の夫の気分だ…そんな気持ちで店の扉をくぐった。
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