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□3話。−クリスマスイヴ
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放課後寄り道した後の帰り道、今年の冬も寒いね〜なんて当たり前のことに身を竦めて歩いている。最近ではご無沙汰だった寄り道も、毎週この曜日だけは健在だ。いつもの様にウィンドウショッピング巡りをしたり、新書が出てないか本屋を覗いたり。冬は個人的に好きなんだけど店内と外の温度差には本当に参ってて、冬好きのわりに寒がりなのにろくに厚着が出来ない。今日も今日とて熱気冷ましに必死です。
いらっしゃいませ〜、不意に耳に入った声の方を見ればサンタコスをしたクラスメイトが。向こうもこっちに気付いたみたいで、大きく手を振ってくる…
「…クリスマスイヴか。」
「っ!?やだ、待って珠樹ちゃん!その今思い出したみたいな台詞取り消してっ!」
納得ポーズ付きの私にクラスメイトの緑間ちゃんが半泣きで止めに入る。
「や、実際今思い出しちゃったし…」
「学校で散々話してたじゃん!」
身を乗り出してまで訴えてくる緑間ちゃん。売り子は良いのか緑間ちゃん。…この「緑間ちゃん」って響き好きなんだよなぁ。
「あの時はちゃんと覚えてたよ。でも緑間ちゃんの恰好見るまで忘れてた。」
「なんか涙が…」
あらあら泣いちゃったよ、緑間ちゃん。そこまで過剰な反応されると一応自覚はしてる寂しい奴レッテルが色濃く感じる…話しを逸らしてしまえっ。
「サンタコス良いな、可愛い。」
「珠樹ちゃんバイトは?」
「課題やっつけるのに苦戦してたら他のバイトの子でいっぱいになっちゃった。」
「あらま、せっかくの稼ぎ時に残念だね。」
ミニスカ見てると何故かめくりたくなるよね。え、私だけ…?なんとなく、絶対領域には萌えないけど黒タイツは可愛いと思う。でも柄物は若干微妙…
「じゃあ決定!店長に聞いてくるよ!!」
「えっ!?」
待って、待ってよ緑間ちゃん。以外に足早かったんだね。結構失礼なこと思ってますけどこれでも一応焦ってるんですよっ…私はいったい何を口走ったんだ何が決定なんだ…
「珠樹ちゃ〜ん!オッケイだって〜!!はい、これ珠樹ちゃんの制服!」
まぁなんとも素敵笑顔でサンタの衣装を…いやいや制服って…
「このサンタコスはどう言った意図が…」
「サンタコスを着たがってた珠樹ちゃんに私と店長からのクリスマスプレゼント…と言う名の超短期バイトです!」
そのあまりもの笑顔の素敵さに私は回れ右をして…ガシっと腕に走る圧迫感に緑間ちゃん以外と握力有るのね…じゃなくて、最近このパターン多過ぎだろう。皆して寄ってたかって人の腕掴みやがってっ。
「良いじゃん。珠樹ちゃん今彼氏居ないし、稼げる時に稼いどこうよ」
「そぉ言えば緑間ちゃん彼氏さん居るじゃん、良いの?バイトしてて。」
「克巳さん仕事だから、終わってからディナー行くんだよ。大人デートです。」
ピース付きで幸せそうな笑顔。
「ご馳走様です。」
合掌。どうやら外に出てる分を売っちゃったら終わりみたいだから、緑間ちゃんのためにも頑張りますか。
「さくさく売っちゃおォー!!」
おォー。棒読みで返せば気合いが足りないと怒られた。元気過ぎるぞ緑間ちゃん。
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