信じてるから
□夢の中の少年
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(ここは――どこ?)
まるでおもちゃの家みたい。
向日葵は瞬間的にそう思った。
壁際に置かれている大きなくまのぬいぐるみは、余裕で向日葵の背を越している。
ピンクと黄色のチェック柄の床。
お洒落なテーブルには、ティーポットとカップにスプーン。
お皿にはおいしそうなクッキーがところ狭しと並んでいた。
(おいしそう)
そっとクッキーに手を伸ばした瞬間、誰かに肩を叩かれた。
驚いて、肩を飛び上がらせる。
「きゃあ!!」
「ダメだよ、先に食べるのはルール違反」
優しい声が聞こえてくる。
向日葵が振り返ると、そこには、身近な誰かとよく似たイケメンが笑顔で立っていた。
そして、その人は言葉を紡ぐ。
「久しぶり、向日葵」
どうやら知り合いのようだった。
咄嗟に誰なのか思い付かない向日葵は困惑した表情を浮かべる。
「え、と……」
「なに?僕のこと忘れちゃった?」
ショックだなぁー?そんなことを言いながら、クスクス笑うところを見る限り、親しい間柄なのだろうが、向日葵には皆目、検討がつかなかった。
申し訳なさそうな表情を浮かべて、言葉を告げる。
「あの、そのまさかです」
少年の笑顔が固まった。