席が近くになって
□始まりました
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「おはよ」
「おはよー」
朝。
ぽん、と肩を叩かれて顔をあげる。
「愛菜が教室いるなんて、久しぶりだね」
「あはは、今日は課題をやろうかなぁーって思ったんだよねー」
鞄を置きながらおっとり言う彩に、やりかけのプリントを見せて笑う。
「え、なにそれ?
課題なんてあった?」
「今まで溜め込んだ課題その四くらい」
正直、溜まりすぎてわからないから、番号は適当なんだけれど。
「あぁ。
いつもやらないくせに、急だね」
本人はなんとなく言っただけなんだろうけど、愛菜はつい、ギクリ、と一瞬、動きが止まってしまった。
「た、たまには、自分の教室で静かに過ごすのもありかな、なーんて?」
「ふーん」
「ま、普通、朝は自分の教室にいるのが当たり前なんだけど」なんて言う彩に、ふ、と鼻で笑い飛ばしてやる。
「楽しいところには、どこにでも飛んでいくのが、愛菜なのさ」
ちょっと、調子に乗ってみた。
「……」
「……ごめんなさい」
冷たい視線に耐えられず、すぐに視線を逸らしてしまった。
無理、無理無理。
調子に乗りすぎました。