席が近くになって

□下手なことはしない主義
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「あれに比べたら、うちの光希がましだな!」



未來がにやにや笑いながらそう言う。



「いや、いい勝負ぐらいじゃね?な?」



同じくにやけ顔の優斗が俺に話を振る。
おい、本人に聞くのかよ。



「さすがに、あそこまでひどくはねーよ、俺」



そう、だよな?
言いながら、今日の失敗を思い返すとそうはいえない気がして、「少なくとも、そうであってほしい」と付け足した。
そう言うと二人は大爆笑。
かなり失礼だ。



「愛菜、もしかして寝てたのー??」



そんな俺たちの耳にふんわりした声が届く。
隣のグループでは、真波ちゃんが不思議そうに愛菜に聞いていた。
確かに正気で普通は食べないよな。
あれは。



「んー、ちょっと考えごとしてたー」



間延びした声で返事をする愛菜は、ごそごそと弁当箱を片付けだしていた。
あの葉っぱを食べてる時点で食べきってたしな。



「なに考えてたの?」



綾さんがそう言うと、愛菜は「んー…」と言いながら、弁当箱を片付け終わったところで、ようやく顔をあげた。
マイペースだな、こいつ。



「えーと、確か最初は黒板掃除大変だなぁって考えてたんだよねー」



言われて、二人がそれぞれ「あぁ」とか声をもらす。
確かに大変だよな。
先生によってはこだわるやつとかいるし、日直は苦労する。


愛菜は綾さんと真波ちゃんがそんなふうにうなずいてるのをみて言葉を続けた。
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