席が近くになって

□好きなのか?
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「愛菜、なにそれ!?由奈達にくれるの!?」

「そうだよ〜、差し入れで〜す。遅刻したお詫びとお礼を兼ねてね」



由奈がめざとく、俺達が持っているジュースをみつけて叫んだ。
それに釣られて、待っていたメンバーの視線が俺達の持つジュースへと向いた。



「愛菜が持ってるのはジュース系で、翔太くんのはスポーツドリンク。光希くんは炭酸だよ」

「よっしゃ!」

「やった、ありがとう〜」



わらわらと群がり、次々とお目当ての品を取っていく。



「じゃあ、華夏コーラ!」

「えぇ!?由奈がコーラだけど!」

「愛菜はポカリ飲みたいなぁ〜」

「あ、それとっくに俺とった」

「譲ってくださりません?」

「やーだ」

「じゃあ、俺はアップルティーで」



一悶着はあったものの、無事全員にジュースが行き渡った。
そして、暫くの休憩ということで各々が自由に固まってくつろぐのであった。



「冷たーい!おいしいー!!」

「だからよ!ありがとねー、愛菜」

「ありがとう〜」

「サンキュー」

「あはは……、どういたしましてー」



ちなみに愛菜は少し離れたところで翔太の横に座っていた。
いや、翔太が無理やり隣を陣取ったというのが正しいのか。
俺と優斗から距離を取りたかったのだろう。
遠巻きに座った愛菜に翔太が一緒に座ろうぜ!とか言って、隣に座ったのだ。


それと入れ違いに、残りの女子はそんな2人に気をつかったのか、俺らのいる場所のすぐ近くに座り、お礼を言っただけでお喋りに華を咲かせていた。


俺は、優斗の話をBGMに愛菜のことを見つめていた。
おかげで気づいたのだ。
笑って返事を返してすぐ、愛菜の表情が曇ったことに。



「コーヒー飲めないんですけど……」



そんな呟きが風にのって運ばれてきた。

愛菜の手にはコーヒー。
飲み物はじゃんけんで勝った順に決めていった。
そして無情にも愛菜はボロ負け。
残り物のコーヒーが当たってしまったのであった。
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