桜蘭高校ホスト部【完】

□スイーツパーティー
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1 ・・・ 



「来週から、”桜蘭高校ホスト部、部員内お菓子作りコンクール”を開催する!」

『いや、2回も言わなくても大丈夫ですって。
 聞きましたから。』

「ねぇねぇ、たまちゃん。
 それってどういうことするの〜?」

「ふふふ、よくぞ聞いてくれた!
 このお菓子作りコンクールでは、ホスト部全員が各自お菓子を作り、そのお菓子の売り上げとアンケートなどによる人気投票をおこない、結果を勝負するのだ!」

「要するに全員お菓子をつくれってことですよ。」

「きょうちゃん!」

『きょや先輩!』

「「あ、名前近くなってる!!」」

「あの、先輩、一人で盛り上がってるところ悪いんですけど、自分と真綾ちゃんはいいとして先輩達、お菓子・・・。
 作れるんですか??」



おずおずと最後に入ってきたのはハルちゃん。
どこか納得しきってない様子からして、これって、ほとんどハルちゃんの意見無視されてたのかな・・・??
そんなことを思いながら、真綾も視線をキングに向ける。


「作れるわけがなかろうっ!」



自信たっぷりに言い切る先輩。



『できないんですか!?』

「・・・やっぱり。」



できないのによくそんな企画を考え付いたよね!?
と、驚く真綾と、どこか落胆した表情のハルちゃん。



「よく考えたら僕らも作れないよねぇ。」

「あぁ。」

「「俺たちもないでーすっ!」」

「基本そういうものは作ってもらうだけだからな。」



彼らのセリフを聞いて、納得すると同時に胸に込み上げてくるどす黒いもの。


お金持ちの世界ってそういうものですよね・・・!
そういうものですよねっっ!?

まわりの容赦のない一言一言が心に突き刺さる。

いいもん、別にっ!
お菓子は自分で作った方がカロリーとか少なめですんだり、安上がりで食べたりできるんだからね!?



心の中だけで叫んでいたって意味はないんだけどっ!!



「真綾ちゃん、元気出してっ!!
 この人たちをふつうと思うだけかなしくなるからっ!」

『ハルちゃん・・・!』

「むっ!
 ハルヒ、真綾!
 俺たちはいたって普通だぞ!?」

「そんなことは鏡を見てからいってください。」

「どういう意味だそれは!?」

「「殿、言われたまんまの意味だって。」」

「それ、光と馨にも言ってるんだけど?」

「「なんで!?」



ハルちゃん、扱いに慣れすぎだよ・・・。


ハルちゃんの言動に感心する。
まぁ、それはそうと、一番解決しなくてはいけないことを聞かなくちゃ・・・。



『きょや先輩、みなさんお菓子作りできないのに、どうやって勝負するんですか??
 このままじゃお菓子勝負にすらならない気が・・・』

「それはあだ名か真綾?」

『あ、はいっ!
 さっき、考えましたっ!』

「・・・。 
 早いうちに名前覚えろよ。」

『は、はいっ!!』



眼鏡の端がきらりと光る。

わわっ、は、早く覚えよォッ!



「とりあえずお菓子作りをどうするかといったな。
 真綾、この部内に、お菓子が作れるやつは何人だ?」

『えと、真綾とハルちゃんの二人です。
 …多分。』



真綾がそういうと同時に、すぐさまキングが返事を返す。



「そう!
 それ以外の俺たちは作ることができない。
 そうなるとおのずと答えはわかるだろう?」

『えと……?』



いやいやいや、それだとホスト部全員!
っていってるわけないよねっ!

でも、これしか思いつかない・・・



『真綾とハルちゃんだけで勝負するとか――――!?』

「真綾ちゃん、ちゃんと話聞いてなきゃだめだよォー。」



ぐぎゅぅうううう。
首にかかる圧迫感。



『聞いてました聞いてましたっ!!
 首首っ!!
 地味にしまってますハニー先輩!!』

「気にしない気にしなーい。」

『気にしますっ!!
 殺しやがるつもりですか!?』



ハニー先輩が首周りに抱きついてきたおかげで首がしまってます。
なんですかこれ!?
普通抱きつかれたら嬉しいはずなのに、苦しいですっ!!



「たまちゃん、つまりこういうことなのかなぁ?
 真綾ちゃんとハルちゃんをチームのリーダーとして、チームを二つに分けて勝負するとかー」

「ハニー先輩お見事!
 まさにその通りです。」

『え。』



おっしゃる意味がよくわかりません。
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