桜蘭高校ホスト部【完】

□さようなら
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「止めろ……!この悪魔っ!!」



ガンッ



その人は叫びも虚しく、鉄パイプで殴られ、動かなくなった。



これで全員かな。
金庫を叩き壊して、お金をとる。
あ、カードじゃん。
あとで、未亜くらいに降ろしてもらうか。



その場を後にしようと歩き出した瞬間、近くから物音がした。
まだ生きている人がいる?



辺りを見渡す前に、相手がすぐに見つかった。



「真綾ちゃん」



悲しそうな顔をしたハニー先輩。
会うのは、二週間ぶりでしょうか?



先輩の顔をみた瞬間、なんだか気持ちがすっと晴れて、自然と笑顔が浮かんだ。



「ハニー先輩、久しぶりですね!
どうしたんですか、こんなところで」



真綾がそう言うとハニー先輩はますます表情を曇らせた。



それがなんだか悲しくて、真綾は慌てて言葉を紡ぐ。



「あ、そうだ!
先輩聞いてください!
真綾、あと少しで、ハニー先輩に借金返せるんです」



きっとこのクレジットのお金で、ちょうど。
そう言っても、ハニー先輩の表情は変わらない。



「あ、じゃあこれは?
もう知ってますかね。
真綾、明後日にはイタリアに引っ越すんです。
ある人が引き取ってくれて……」



何を言ってもハニー先輩は悲しそうな顔をするばかりで、どうすればいいんだろう。
分からなくなった真綾は、話かけることを諦めた。


きっと、この状況のせいかな。
どうして、ハニー先輩がここにいるのかは分からないけど、真綾のこの様子をみてショックを受けているということは、真綾とハニー先輩の間には大きな溝ができたのだと思う。
もう、無理かな。



真綾は笑顔を消して、立ち去ろうとした。



最後に一言、「ごめんなさい」



そう言って。
これは、いつかの告白の返事のつもり。

なんで今?
なんて思うだろうけど、瞬間的に悟ったんです。
今言わなきゃいけないって……。


それから、ハニー先輩は、動かなかった。



第八章:さようなら


住む世界なんて元々違ってた。


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