桜蘭高校ホスト部【完】
□うさぎのぬいぐるみ
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目が覚めたら、そこは病院だった。
よっぽど酷い怪我だったらしく、しばらくは家族以外面会謝絶。
正直、精神的なものが大きかったと思う。
だって、3日もしたら、普通に生活出きるようになっていたのに、僕は1週間、病室からでたくなかっただけだったから。
病室の扉から面会謝絶の札がなくなったその日、最初にやってきたのは、意外なことに鏡ちゃんだった。
「気分はどうですか」
「ん〜、まぁまぁかなぁ」
鏡ちゃんが、持ってきたお花を花瓶に刺すのを眺めながら僕は笑った。
本当は笑う気分なんかじゃなかったけど、そこは先輩として心配をかけないように、だ。
「鏡ちゃんが一人でお見舞いだなんて意外だねぇ」
「ちょっと話たいことがあったものですから」
「そうなんだ」
二人の間に沈黙が流れる。
「話たいことってなぁに?」
分かっているけど、敢えて聞かざるをえない。
「真綾は、行ってしまいました」
「そっか」
視線を花から外して、鏡ちゃんを見る。
「見送りはしてきた?」
「まぁ、一応」
ほとんど話せませんでしたが。と続けて、鏡ちゃんはベッド横の椅子に腰かけた。