信じてるから

□夢の中の少年
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「レギュラス・ブラック」


少年は自らをそう名乗った。



「レギュラス……?」



あれ?なんだか聞き覚えある。
どこで聞いたんだろう。
首をひねる向日葵に、レギュラスはため息をついて言った。



「君はレギュって呼んでたよ」

「レギュ……」



口に出してみると、なんだかしっくりくる。
あれ?



「覚えはある?」

「うん」



向日葵の返事を聞きながら、レギュラスは紅茶をカップに注いだ。
カップをそれぞれの前に置いて、どうぞ。
と一言告げた。



「あ、ありがとうっ!」



何を思ったか知らないが、向日葵は慌ててカップを手に取り、口をつけた。
ふわりと香る甘い香り。



「おいしい……」

「ここの紅茶に外れはないから」



同じようにカップに口をつけてレギュラスは言った。


「ねぇ、なにがあったの?
君がよそよそしいのって違和感しかないんだけど」

「なにがって言われても……」



なおさら困惑する向日葵に、レギュラスは形のよい眉をよせた。



「最後にあったのは一ヶ月前だったよね?
この一ヶ月なにがあったか話して」

「一ヶ月?」



少しの間、唸りながら記憶をたどって、向日葵は「あ」と言葉を漏らした。


そして言葉を続けた。



「それ、私がホグワーツに来た日だよ」



ちょうど一ヶ月だ。そう言って向日葵は笑った。


レギュラスの目が大きく見開かれる。



それには気づかず、向日葵は「月日が経つのって意外と早いよね!」なんてまだ笑っているのだった。
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