席が近くになって

□拒絶反応
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「愛菜!!!」



危機迫った声で、ゴール前を走っていた愛菜は、後ろを振り返った。



「え、あ、はぃっ……ぐぁぅっ!!」



振り返ると同時に目の前に現れたオレンジ色の物体。
気づいた時にはもうダメ。
バシンっ、とものすごく痛々しい音がコートに響く。


「「「愛菜!?!?」」」



そして、そのまま背後に吹き飛ばされ、愛菜は倒れ伏した。
それから続く、トントン、とボールの跳ねる音。



「愛菜大丈夫!?!?」

「愛菜!?!?」



近くにいた人たちが駆け寄ってくるのを手で制して立ち上がる。



「だ…ぃ……じょぶ」



わぁ。
目の前で星がチカチカしてるよ。
くらくらする視界に耐えながらも、なんとか立てた。



「あ、れれ?」



ううん、立ち上がれたと思ったのはまちがいみたい。
あ、いや。
立ち上がりはしたけど、立ちくらみだ。
フラフラと体が倒れて、ペタンと座り込む。



「顔腫れ上がってるし、愛菜、保健室いった方がいいよ!!」



誰かが愛菜の顔を撫でながら、焦る声で言った。
一緒か?撫でてる人と言ってる人。
声違うかも。顔見えないからわかんない。



「愛菜、おーい、愛菜」



声のする方を向けば、今度は目の前で手がひらひら。


「見えてる?」



だなんて、愛菜どんだけ重症なんだ。
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