席が近くになって
□転がりこんで
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「そこの近くの公園に用があるんだよ」
言いながら、田中はシャツを下まで引っ張った。
割れた腹筋が視界から消える。
別に名残惜しいとか思っちゃいねぇけどさ。
「サッカーすんの?」
公園でサッカー。
サッカー部内でよくやることだが、いかんせん、相手は田中だ。
首を傾げて確認する。
「まぁ、似たカンジ」
「行く」
にべもなく頷いた。
それから、もう一つ。
「他には?
誰が行くんだ?」
「あー、今のとこ、俺とお前と優斗。
あと一人くらいほしいとこだな」
今から誘う、とかじゃなくて、あと一人欲しいって。
あと四、五人くらいいねーと試合成り立たねぇだろ。
「少なくないか?」
「サッカー教えに行くんだけだからいいんだよ。
ゲームはしねぇ」
「へ?」
思わず聞き返した。
「聞いてないけど、それ」
「今初めて言ったし」
ガサゴソと荷物を整理する田中が言う。
「優斗はいいって?」
あいつなら、そんなの面倒だと断りそうなのに。
まさか、そのこと教えてないのか?