桜蘭高校ホスト部【完】

□出会いは公園で。
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『席、交換してください』 





「真綾君って男の子じゃないの??」

「男同士で婚約ってできるものなの??」



ヒソヒソヒソ



「キャーーー!!!
 本物のBLよ!!
 生きててこんなものが見れるなんて―――」

「すごいですわすごいですわ!!」



キャーキャーキャー



「(何がすごいんですか)」



いろいろな憶測、非難、なんかよくわかんない歓声が真綾の耳に届く。
ヤバい。
これはヤバい。

ホスト部で働かせてもらっている身として、男じゃないとかバレてしまうわけにはいかないんですよ。



「ここの人たちなにいってるノ??
 真綾は男の子なん「君、名前は!?」・・・エ?」



馨の胸から抜け出して、男の子の腕を掴んで、彼を見据える。



「名前。
 わかんなきゃ思い出せないでしょう?
 名前教えてくれませんか??」

「真綾、本当にボクのこと覚えてないんだネ」

「ごめんなさい」



男の子が悲しそうにほほ笑むのをみて、真綾は目線を下げる。



「ボクは、ミケーレだョ!
 ミケーレ・ファルネッゼ」

「ミケーレ・・・」



だめです。
全然聞き覚えも何もありません。
だけど、なんだかすんなりと名前が頭の中に入ってくる。
でも、それだけ。
馴染みがあるような気がするだけで、聞き覚えは全くありません。



「ボクね、先週日本に帰ってきたんダ!
 それで、おじいちゃんがここの理事長と知り合いだから、この学校に転校してきたんだョ!」

「はぁ・・・」

「それで、ボク今日からこのクラスの生徒なノ!
 ホントは、朝来る予定だったんだケド、この学校広すぎて迷子になっちゃって、今教室見つけたんダ」

「あぁー・・・」



ミケーレ君の言葉にうなずく。
確かに、この学校広すぎますよね。
真綾も最初のころはハルちゃんがいなかったら、大変でした。



「そしたら、真綾が入ってきタ!
 真綾、きれいな懐中時計してるからすぐわかっタ!!」 



あ、ということは、見かけで判断したわけではなかったんですね。
なら、昔の知り合い??
最近の人なら忘れたりなんてするはずないし・・・。



「真綾、可愛くなってル。
 ボクの国にもこんなベッラ珍しいョ」

「べっら・・・??」

「美人って意味だよ、真綾」



光が助け船を出してくれた。



「え、あ、ありがとうございますっ!!」

「へぇ、君、転校生なんだ。
 イタリアから?」

「ウン!
 イタリアに帰ってから真綾に会えなくて寂しかっタ。
 こんなところで真綾に会えるとも思ってなかったケド」

「ひゃぁっ!!」



ぎゅ、と体を抱きしめられて真綾は固まる。
甘い蜂蜜のような香りが鼻先をかすめ、さらさらの柔らかい髪がくすぐったい。



「ちょ、お前離れろよ!!」

「真綾を離せ!!」



背後から光と薫のどなり声が聞こえるけど、ミケーレ君は二人の言葉を無視してマイペース路線を突っ走っている。



「ところで、真綾はなんで男の子と思われ「ミケーレ君、携帯持ってる??」・・・持ってるケド」

「アドレス教えてくれませんか?」



にこっ、と笑って、携帯を握りしめながらミケーレ君ににじりよる。



「え、うんいいケド、あ、ボクが受信すル?」

「真綾が受信する」



有無を言わさぬ強い口調で笑顔のままアドレスを受け取る。



「あ、じゃあ真綾のアドレスも送信してョ!」

「真綾のアドレスは今メールで送りますね」

「え、赤外線のほうが早いジャン」

「送りますネ?」


ピコここここ
ぴぴぴ

ピッ


その間役10秒。
久しぶりに真面目に打ったかもしれない。



「「うわぁ、メール打つのすっごく早いねー」」

「この場合は早くしないとだめでしょ、絶対」
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