桜蘭高校ホスト部【完】

□花の高校生
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『えと、今日からこのクラスで勉強することになりました、比嘉  真綾です。
 よろしくお願いします★』



人間、第1印象はかなり大事。
というわけで、真綾はにこっと、さわやかに微笑む。



「「「「きゃぁー!!」」」」

『うわぁっ!?』



なななななななな!?
なんであっちこっちから女の子の悲鳴がっ!?


「うわぁですって!!うわぁって!!」

「常陸院ブラザーズやハルヒ君に負けずとも劣らなない美貌!!」

「その上この上ない可愛さっ!!」

「「「かぁわぃいいい!!!」」」」



・・・・。
あまりのことに状況が把握できてない俺は、とりあえず。
絶句する。
えと、一応、事情が事情なんで真綾は学園にも相談したわけで、男装してるんですけど・・・。
一応、男ってことになってるんですけど・・・。
男に可愛いってないでしょ!?
っていうか何この歓声!?
お譲さまたちってこんな、ミーハーな感じなの!?



「はいはい、みなさん落ち着いてください。
 比嘉 さんの席は・・・。そうですね。
 藤岡さんの前の席でいいですか??」

『藤岡って・・・。
 ハルちゃんですか!?』

「あ、はい。
 真綾、ここだよ。」



はるちゃんが、教室の真ん中の最後尾のところで手を振っている。
いた!!
あ、えとー・・・。
ホスト部でみた双子さんに挟まれてるんだね。
光邦さんとの決闘のときに散々バカにしてくれた・・・。
あ、でもハルちゃんの前になれるならどこでもいーやっ!!
うん!そうだよっ!!
それに、あの双子さんだってもしかしたら、根はいい人たちかもしれないしっ!!



「比嘉 さん?比嘉 さん??」

『あ、はいっ!!』



あちゃ、先生の話しかとしてしまったっ。
自分の世界にとんじゃってたよ。



「藤岡さんの前はいやなのですか??」



先生は、真綾が無言になっていたことを、もしかして、いやがってるのかと勘違いしたみたいです。



『いえ!!まさかっ!!
 ハルちゃんの前ならむしろ喜んでっ!!』



それに対して、真綾はあわてて訂正する。



「「「「ハルちゃん?」」」」

『な、なんでもないですっ!!』



すたすたすたと、壇上を降りて自分の席へ向かう。
あぶないあぶない!!
なんか追及されたら墓穴を掘ってしまう気がするっ!!

すとん。

周りの人たちの視線がぐさぐさと無遠慮に突き刺さってきます。
あはは。
とんとん。



『ふぇ??』

「真綾ちゃん、近くの席になれてよかったね。」



後ろを振り返ると、ハルちゃんが優しい微笑みでそう言ってくれた。
は、はるちゃん・・・!!


『うんっ!!
 ハルちゃん、これからよろしくねっ!!』

「こちらこそ。」



ハルちゃんの微笑みはみてて癒されるよぉ。



「そういや君って、学力はハルヒの上だったんだっけ。」

「あ〜。だからAクラスかぁ。」

「でも、貧乏人なのに、よく制服手に入ったね。」



うん。やっぱりこの人たち、人のこと散々バカにするよぉ―――・・・。



『あ、これは、昨日、お友達から貰ったんです。』

「友達?? 
 真綾ちゃん、この学校に自分たち以外の友達いたの??」



なんかそれ、はたからきいたら悲しい人だよね。
友達いない――みたいな。
いや、確かに、転校してきて間もないから、友達、この学校にハルちゃんぐらいしかいないけど。



『あはは。まだ、いないよ。
 あれだよ。徹。
 幼馴染のー。』

「あ〜。徹君かぁ。
 懐かしいなぁ。
 元気にしてる??」

『すっごくっ!
 いつもいろいろと助けてくれるんだぁー。』

「「徹ってだれ??」」

『真綾の親友です。』

「ハルヒは??」

「ただの知り合い・・・かな??」

「「ふーん。」」

「そういえばさ、真綾って、なんでハルヒ以外には敬語なの??」

「俺たちも一応同じ学年なんだけど??」

「そんなに仲良くないから??」

「でも、敬語ってなんかさー、むずがゆいっていうかぁー。」

「ふつうにタメで話してくれた方がこっちも気が楽っていうかぁー。」

『じゃあ、普通に話すよ。』

「「決断はやっ。」」

『だって、ため口の方が話しやすいんでしょ??
 いやぁー、あんまり知らない人にため口ってなんだか馴れ馴れしいじゃん?
 だから、とりあえず敬語使ってただけだしさ。』

「「へぇー。礼儀正しいんだね。」」

「いや、それが普通だと思うけど。」

『あははは。ありがとぉ。
 あ、そういえば。
 二人とも、名前、教えてもらっていい??』



ぴた。

3人の動きが綺麗に止まる。


『あ・・・れ??』

「真綾ちゃん、二人の名前、しらないの??」

『うん。だって昨日、自己紹介されてないもん。』



昨日はいろいろあったから、軽く挨拶だけして、あとは、バイトの日程調節して。
と、忙しくって、さっさと帰っちゃったからなぁー・・・。



「「あぁ、そういえばそうだね。」」

『ごめんね?』

「僕は常陸院 光。」

「僕は常陸院 馨。」

「「二人合わせて常陸院ブラザーズっイェイ★」」

『光と、馨・・・ね!』



えと、右が光で、左が馨。
えと、じゃっかん明るめなのが光で、じゃっかん大人しめなのが馨っと。



『二人とも本当にそっくりだねぇー。
 よく間違われるんじゃない??』

「でしょ〜?僕らのこと区別できるのは、今のところ、」

「僕ら自身と、ハルヒだけなんだー。」」

『そうなの?』

「うん。まぁね。」

『へぇー。
 じゃあ、早いうちに真綾も名前覚えなきゃだねっ!
 そうじゃなきゃ、あってても、間違えたことになっちゃうしっ!』

「名前を覚えたらって、名前覚えてたら区別できるの??」

『うんっ!』



いま、話しかけたのはひかり・・・だっけ??
二人とも顔はそっくりだけど、中身までは一緒じゃないみたいだし。
ところどころ違うところがあるから、見分けるのはそんな難しくない気がする。
だけど、真綾は人の名前を覚えるのが苦手だから、区別の前に名前間違えちゃうんだよなぁ。



「じゃあ、今は??」

『名前間違えてもいいなら。』

「「へぇ。じゃあ、どっちが光君でしょうかゲーム!!」」

「「「きゃぁあああ!!」」」



だから、なんで何かするたびに女の子の叫びがあがんのかな!?

しゃっしゃっしゃ。

と帽子をかぶった二人の立ち位置が入れ替わったりしている。
帽子はどっからでてきたんだろう。
真綾は、不思議に思った。



「「どっちだ!!」」



えと、左の方が声がやさしかったからー、



『左がかおりで、右がひかり。』

「おぉ。すごい真綾ちゃん。
 大当たり。名前が間違ってるけど。」

「「光と馨だよっ!!」」

『ごめんっ!!
 本当に名前覚えるのは苦手なんだっ!!』



ぱしっ。

と両手を合わせて謝る。
ひかる・かおる。ね。
ひかる・かおる。
うぁ〜んっ!!けっこーいい線いってたじゃん!!



「あぁー。
 昨日も散々ハニー先輩の名前間違ってたしねー。」

「でも、今回はけっこ―いい線いってたよ。」

「「ところでさ。」」

『なに??』

「「どうしてそう思ったの??勘?」」

『え、違うよ―。
 声が優しいほうが馨で、声が明るいほうが光。
 でしょ?』

「・・・。すごい。」

「ハルヒとは違う見分け方だね。」

「さすが真綾ちゃん。」

『人の違いを見分けるのは得意だからね♪♪』

「「じゃあ勝負する??」」

「『勝負??』」

「この1カ月で、僕らの違い7つ見つけられたら、真綾の勝ち。」

「もし見つけられなかったら、真綾の負け。」

「罰ゲームはそうだな。何にしようか馨?」

「そうだね、『相手の言うことをなんでも1つ聞く』ってのはどう?光?」

「あ、それいいねっ。」

「じゃあ、それで決定。」

「「どう?やる??」」

『面白そうだね!
 挑戦するするー!』

「ちょっと!
 7つも違いなんて多すぎじゃない!?」

「「えぇー、そうかなぁー。」」

『ハルちゃん。
 これから仲良くなるんだから、それぐらい楽勝だよ★』
 
「えぇー・・・。
 でも・・・。」

「へぇー。自信満々だね。」

「負けて後で痛い目見ても知らないよ?」

『お生憎さま。
 勝負事で、ましてや、罰ゲーム付きのもの。
 真綾が負けるなんてありえないから。』

「「へぇー。よくいうねー。」」

『これからよろしくね♪』

「「こちらこそよろしく。」」





ばちばちばちー
と、3者ともどもに、みつめあいお互いに火花を散らす。



「真綾ちゃん頑張ってね。」

『うんっ!!』

「「僕たちだって負けないよっ!」」

『真綾が勝つんですよーだっ!』



べっ。と舌を出して、みんなで大笑い。
こうゆうの、とても懐かしいな。
こうして、笑うのだって久しぶり。
高校って、案外悪くないかも・・・。


そんなこんなで、真綾の高校生活は、はじまりました。
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