桜蘭高校ホスト部【完】
□花の高校生
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「いらっしゃいませ、お嬢様方。
本日はどのようなご用件で??」
「あ、あの!!真綾君とお茶を・・・。」
「かしこまりました。
お〜い、真綾〜!!」
『は、はいっ!!』
それじゃあ、失礼しますっ!!
といって、今いた席から離れて、新しく指名してくれたお客さんのところへ行く。
たたたたたっ
真綾が、桜蘭高校に入学して、1週間が経ちました。
最初はなじめなかったこのおかしな雰囲気にも、だんだん慣れてきて、今では、この、ホスト部の一員として、一生懸命働いています。
「「真綾人気者だね。」」
『あ、ありがと☆』
「真綾ちゃん頑張ってねっ!!」
『もちろんだよっ!
がんばりますっ。』
ハルちゃんと光と馨にすれ違いざまに応援されて、さらにやる気が・・・。
がんばる気が・・・。
でねぇよばかぁああああああああああああ!!
なにこれ!?なんですかこれぇ―――――!?
ただ、女の子とお話して、お菓子食べて、お茶して・・・!!
こんなのが仕事!?
お金になんかなってるの!?
こんな楽な仕事、世の中にあるわけないでしょおおおおおお!?
++++++++++++
『あの・・・。
恭子先輩。』
「それは女の名前だと思うのだが。」
『えと、えと・・・。
脅威せんぱいっ!!』
「「ぎゃはははははははは!!」」
「真綾!!それっ最高っ!!」
「鏡夜先輩にそんなこと言うなんて勇者だろ!?」
『あ。鏡夜先輩か。』
学校に転校してきて、早1ヶ月。
クラスにはなじみ、部活にも慣れてきた真綾は、今ちょっとした不安があります。
今日は、それを、この部活の裏の指導者らしき鏡夜先輩に相談をしようと思ったのですけど・・・。
お客さんも帰って今がチャンスっ!
と思って声をかけたというのにっ・・・!!
光と馨がいつの間にか後ろに来て、人のことを大馬鹿にしているのです。
まったくしつれいなっ!
「とりあえず、なんだ??」
『えと、あのちょっと相談があって・・・。
今大丈夫ですか??狂気先輩。』
「「ぎゃはははっ!!
はははっは!!」」
「狂気先輩って!!狂気先輩っ!!」
「今、答えわかってたくせに!!」
「「ぎゃはははははははは!!」」
ちょ、ちょっと!!
笑いすぎでしょ!?
あれ?今、名前あってたよね!?
「お前は俺を人間外の名前にしたいのか??」
先輩の眼鏡の端がキラッと光る。
あうっ。
違ってました。
「ってかさー。もうここにきて1週間もたつのていうのにさー。
真綾まだ名前覚えてねーの??」
『お、覚えてるよッ!!
ハニー先輩に、モリ先輩に、キングに、鏡花先輩に、ハルちゃんに、光に馨!!』
「だから鏡夜先輩だって!!」
「ってか殿のことキングだって!!
えらーいっ!」
「なぜ俺だけ・・・。」
『す、すいません!!
真綾、人の名前覚えるのすんごい苦手でっ!!
でも、その代わりと言っちゃなんですが、あだ名を覚えるのは得意なんです!!
光と馨は、ハルちゃんが何度も間違いを直してくれるので、3日目でようやく覚えたんですけど。』
「「あははははははっ!!」
「3かだって!
3日だってよ!!馨。」
「僕たちそんなに覚えにくい名前かなぁ?
ねぇ、光。」
「「ちょっとショックだなぁー。」」
それって大笑いした後に言うセリフ!?
あ、でも、今ので、また一つ発見!
『二人の違いはっけーんっ☆』
「「えっ、なになに??」」
『光と馨、大笑いするときさ、おなかを当かかえるまでは一緒だけど、光は上を向いて、馨は下を向いて大笑いするよねっ!!」
「「え??」」
「あ、あれ??」
「「そうなの??」」
二人がきょとんとした顔でお互い顔を見合わせている。
『気づいてなかったの!?』
「そんな違いがあるなんてしらなかったよ。」
「大笑いするときはおもいおもいだしね。」
そ、それって!!
『二人が気付いてないことを、真綾が一番目に気付いたってことだっ!!』
ぱぁああああ。
っと思いっきり顔を輝かす。
なんかそれってすごいことだよね!?
「「ふぅん。でもこれでもまだ2つ目だよ。」」
「期間はあと3週間。」
「僕たちそんなに間違いはないはずだし。
今回は偶然だよ。」
「絶対にあと5個も見つからないね!!」
自信満々に胸を張る双子。
でもね・・・。
『そんなことないもんっ!!』
「「は??」」
『そんなことないっ!!』
ぜったいにそんなことはないもんっ!!
『性格も行動も全く同じ人なんていないんだから!!
ぜったいにぜぇーったいに!!』
「「じゃあ、みつけてみなよ!!」」
『みつけるもんっ!!』
ぜぇったい!!みつけて見せるんだからっ!!
真綾は一人で意気込む。
光と馨、二人、本当に似てるけど、やっぱりそれぞれどこか違うんだよなぁ。
自分達は絶対に同じだなんて、そんな考えきれいさっぱりなくしてやるっ!
「それはいいんだが、真綾。
お前、俺に話があったんじゃないのか??」
『ふぁいっ!!』
突然後ろから声をかけられる。
あ、忘れてたよっ!!
『あ!!はいっ!!
真綾をこの部の専属シェフにしてくださいませんかっ!?』
真綾は意を決して、決死の覚悟でそう叫んだ。