雲雀×骸
□君との記念日
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暗闇に光る桜の薄桃色が、視界を掠める。
血の匂いがする。
体が覚束ない。力が入らない。
骸と名乗る少年がクフクフと気色悪く嗤う。
震える足はついに機能を奪われた。
掠る視界が闇に蝕まれていく。
屈辱だけを強烈に残して、骸の嗤い声を最後に意識が絶えた。
これほどまでの屈辱を覚えたのははじめて。
そして、他人にこれほどまでの興味を持ったのも、これがはじめてだった。
(きっと人生で一番屈辱的な記念日。だけど君との記念日なら、)
(こんな記念日も悪くないかもね)
そう言うと、君はうれしそうに笑った。