雲雀×骸

□君に触れることは罪?
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沸き上がってくる欲望のままに。
君で掻き立てられる興奮を抑え切れなくて。
頭の中で何度も想っていた。願っていた。こうなればいいのにと。何度も、繰り返し。

君の名を、

「骸」

声にせずにはいられなくて、手も止められない。

今日の僕は理性をどこかに置いて来てしまったようだ。
抑制が全く効かない。メーターを振り切った針そのもの。

激情が湧き出て、溢れ出す。
動く手は欲望のままに。

「なんですか、恭弥く、…っ!」

振り返った骸が目を見開いて、唇に柔らかいものが触れる。
骸の温もりが直に伝わってくる。

すぐに後悔して、もう遅いと思った。

すごく柔らかい、唇。
僕の唇を押し付けたり、離したり、チュッと口付けたりして、骸の唇を堪能する。
舌を入れようと口を割ろうとすると、骸から開けてくれた。びっくりした。けれど、嬉しい。
生温い舌と唾液が激しく絡み合う。口内に舌を這わせると、骸の熱が伝わってくる。
込み上げてくるこの感情はすごく暖かいもの。

この時やっと気付く。――身体が骸を激しく求めていた、と。
理性のいうことなどどうでもよくなってしまうほどに。

眺めてるだけでよかったんだ。想ってるだけでよかったんだ。そのままでいたいと思っていたはず。
それなのに僕は今夜、自ら壊してしまう。

口の奥まで長い時間交わし合って、唇がゆっくりと離れる。触れたところがじりじり熱い。

目の前の骸は恍惚としている。
瞳は虚ろで、頬は朱に染まり、唇の端からは唾液がいやらしく垂らされていた。

「きょ、や……くっ、これが、どういうことか…わかって、るのですか」

震える声でとぎれとぎれに吐き出される言葉を全部拾って、何が言いたいかをやっと理解する。

「わかってるよ」

僕の言葉に顔を歪める。信じられない、とでも言いたそうに眉間にきつく皺を寄せた。

当然か。いきなりやったんじゃ嫌がられるに決まってる。

そして、骸は忌ま忌ましげに口元を腕で乱暴に拭った。オッドアイの赤が燃えていた。六の字が見える。

「……わかってて、やってるのですか」
「当然でしょ、僕はもう我慢できないんだ。続きをやろうよ」

違う。思ってもないことを誰かが口走る。僕じゃない。そう否定したかったけど、言葉を発したのは紛れも無く僕の口だった。

また一層、骸の表情が歪んだ。炎を無くしたオッドアイが静かに閉じられる。眉間に刻まれた皺が苦痛を物語っていた。
けっこう長い時間が経って、骸が頷いた。

それはいいということなのか。
考える前に身体が動いていた。そこにはもう本能しかなかった。
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