短編集
□俺様兄貴と大切な約束
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監守室の外では、彰範と知博が無言のまま見詰め合っていた。
「別に、俺は絵里子の見方になるつもりはねぇけど…」
彰範が周りを少し気にしながら話した。
他の寮生はすでに部屋の中で廊下には誰も居ない。
「アイツ、昔っから自分の気持ちを押し殺すとこがあって
無理ばっかするんだよ。」
絵里子の事を“アイツ”と呼んだことで
知博の表情が険しくなる。
彰範は知ってか知らずか話をそのまま続けた。
「だから、ちゃんと見とけよ絵里子の事。
俺が何言ってもダメなんだよ。
あんたじゃないとな。」
「言われなくても、絵里子は俺が守る。」
そう言うと、知博は寮を後にした。