短編集
□俺様兄貴と大切な約束
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「絵里子?」
彰範が監守室の中に入ってきた。
私は彰範を見つめ、苦笑した。
「ちゃんと話せたよ。」
「でも、理性が邪魔をしたとか言うんだろ?
関係ねーって言っても
お前はダメだもんな。」
そう言ってくしゃりと頭を撫でられた。
やっぱり。
彰範にはばれてるんだ。
何で知博さんなんだろう。
なんで私はいつも見守ってくれてる彰範じゃなくて
知博さんを好きになったんだろう。
こんな不毛な恋なんて
いっそしない方が良かったのに。
「彰範…なんで…私」
「俺の事好きにならなかったのかって?」
彰範の言葉に私はただ頷いた。
本当になんでだろう。
なんで私の心を奪ったのは、知博さんなんだろう。