短編集
□俺様兄貴と大切な約束
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始業式はあまりにも強烈な印象で
私は、その後どうやって教室に帰って
どうやって寮まで帰ってきたのかすら覚えていなかった。
ベッドに横になり
ぎゅっと目を閉じた。
何でいるの?
お願い、家族を壊さないで…
私がベッドに横になっていると、ドアがノックされた。
3回のノック音。
これは彰範だって合図だった。
私は部屋のドアを開けると、彰範を部屋の中に招き入れた。
「大丈夫か?」
その言葉で、彰範は“知博さん=新任”ということを知ってるって、分かった。
私は正直に首を横に振った。
会いたくて、会いたくて、どうしようも無いくせに
会いたくない。
私はずっと矛盾する気持ちに悩んでいた。
「……お前に会いたいって…」
彰範は少し考えてゆっくりと話し始めた。
誰が。
なんて言ってない。
だけど、きっと知博さんなんだって分かった。