短編集
□発展途上恋愛2
1ページ/6ページ
「海ちゃんっ!!」
放課後の教室に、聞きなれた声が轟く。
教室に残っていた生徒たちは
また始まった、とばかりにため息をついた。
「海ちゃん、俺とデートしてくださいっ!!」
今日だけで、何度言われたことか。
私は顔を真っ赤にして叫んだ。
「嫌ッッ!!!」
バンッて机を叩いて立ち上がった。
で、逃げようとしたけど利玖に腕をつかまれた。
細っこくて、可愛い顔のどこにこんな力が?って思うほどの力。
「何で?」
利玖は私の目をじっと見つめてきた。
うぅっ…可愛い…。
思わず、ぎゅっとしたくなるような利玖の眼差しに耐えかねて
私は視線を逸らした。
「海ちゃんは俺のこと嫌いなんだ?」
シュンってしたような声。
はっとして顔を上げれば、今にも泣きそうな利玖の顔。
「き、嫌いじゃないよ!!」
「じゃぁ、好き?」
慌てて否定すれば、すぐさま質問が返ってきた。
……。
誘導尋問されてる気がするのは私だけ?