短編集
□発展途上恋愛2
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「ねぇ、好き?」
一歩ずつ近づいてくるから、私は一歩ずつ後ずさった。
「ねぇってばぁ。俺のこと好き?」
「な、な、な…」
言えるわけないでしょ!!
教室の中にはクラスメイトだって残ってる。
そんな恥ずかしいことなんて言えないよ!!
って言いたくても声が出ない。
そうしてるうちに、壁際に追いやられて
私は逃げ場を失った。
「海?俺のこと好き?」
「ッ…!!!」
急に恰好良い顔つきになって
その顔が近づいてきた。
ぎゃぁぁあああああっっっっっ!!
「はい、そこまでー。」
キスされるって思ってたら、直前でそんな声が聞こえた。
ぎゅっと瞑っていた目を、恐る恐る開けば
目の前には彩夏の手があった。
わぁ…彩夏の爪キレー…
じゃなかった!!
今まで間近に居たはずの利玖を探せば
さっきに比べたら、ちょっとだけ離れたところに居た。
とは言っても
目の前なのには変わりないけど。
むすっとして、彩夏を見つめてた。