短編集
□発展途上恋愛3
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「彩夏っ!!!
ど、ど、ど…どーーーー!!!」
「いや、分かんないから。」
完全にテンパる私を尻目に
彩夏は冷静に私に突っ込んだ。
イッツ クールビューティー
なんて一瞬頭をよぎったが
ここで言ったら怒られる、と思い私は言葉を飲み込んだ。
「って!!
そうじゃなくて!!」
「何を否定して、何が言いたいのよ、海…。」
「り…利玖がね?」
「うん。」
「で…デートしようって!!」
「良かったじゃない。」
彩夏に詰め寄り
私はこっそりと耳打ちをする。
そしたら、彩夏はニッコリ笑った。
そう、本来ならば喜ぶべきことなのだろう。
だけど、私には素直に喜べない理由があった。
「何、ケンカしたの?」
彩夏が少し心配そうに
私を覗き込んだ。
だけど、それは私が心配してることじゃない。
「違う…。」
「じゃぁ、何?」
私が静かに答えれば
彩夏は不思議そうに私を見つめた。