短編集

□俺様兄貴と大切な約束
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私は深呼吸をし、ドアを開けた。
彰範はドアの隣の壁にもたれかかるようにし
一言“正解”とだけ呟いた。
そして、目だけで監守室のドアを見つめた。

きっと、行ってこいって合図。
私は頷くと、監守室の前に立ちドアをノックし
静かに開けた。


「絵里子…」


ドアの向こうには知博さんが居た。
たった数日会わなかったみたいなのに
ずっと会っていないような気分。

できることなら
その胸に飛び込みたい。

だけど、私はその衝動を抑え
知博さんの近くに座った。


「ビックリしちゃった…
まさか、知博さんが学校に来るだなんて…」

「実は、母さんたちの再婚が決まる少し前に決まってた。」

「え?
何で、初めて会ったとき、教えてくれなかったの??」

「俺はちゃんと言ったぞ?
“いろんなところで、よろしく”って。」


そう言って、知博さんはニコッて笑った。
不思議と知博さんとの会話は普通で
まるで、あの時のキスが無かったかのようだった。
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