短編集
□俺様兄貴と禁断の果実
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「あ?
黙って吸わせろよ。
それともお前も吸いたいのか?」
それに不機嫌そうに返し
私からタバコを取り返した。
火をつけ、ふぅ、とゆっくりと煙を肺の中に入れる彰範。
その彰範をぼんやり見つめていた。
「ねぇ…彰範。
何で他の人の前で猫被るの?」
「いい先生の方が親受けがいいからに決まってんだろ。」
やっぱり。
彰範は自分に嘘をついてる。
猫被るのは、恐いからでしょ?
自分も相手も深入りしなければ
傷つくのも浅くて済むからでしょ?
なんて思っていても言葉には出せなくて
私はおどけた。
「全く、こんな事さちが聞いたら悲しむわよ。
でもまぁ、穏やかに話す彰範とか気持ち悪いけどね。」
「なんだと!??」