短編集
□俺様兄貴と禁断の果実
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バカみたいに笑い合って
せめてこの瞬間だけは彰範の傷が消える事を願った。
その時ドアに何かがぶつかる音がして
私は嫌な予感と共に、ドアに駆け寄った。
あの背中は…
「さち!!」
叫んで、彼女を止めようとしたけど
彼女は振り返りもしなかった。
私が彼女を追いかけようとしたとき、彰範がそれを止めた。
「ちょ、なんで止めるのよ!」
「いつかは…ばれるだろ。」
今なら、傷は浅い。
多分そう言うに違いない。
でも、違うよね。
その顔は納得してないでしょ?
「彰範…人のこと言えないじゃん。」
「は?」
「納得してないくせに、さちに嫌われるのが恐いくせに。
ねぇ、私に言ったでしょ?
好きなら、好きって言ってきなよ!」