短編集
□俺様兄貴とやっぱりバイバイ?
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「絵里子っ!!」
「え?」
クラスに居ると、友達が駆け寄ってきた。
振り返れば、友達は慌てている様子で私の手を掴んだ。
「ちょっとこっち!!」
そう言って引っ張られること数十メートル。
やっと離してくれたのは校長室の前だった。
校長室のドアの前ではクラスメイトが聞き耳を立てていた。
「何、してるの?」
不思議に思い聞けば、口をふさがれた。
「いいから、大変なの!」
小声で言われ、ドアに耳を押し付けられた。
『…というわけで、どうだね?』
『ですが…』
『君にとってもいい話だと思うが?』
途中から聞いた私には内容を理解するのは不可能だったが、
話しているのが知博さんと校長先生ってことだけは分かった。
しばらくして、ドアの方に声が近づいてきて、私たちは慌てて教室に向かった。
「ねぇ、どういうこと?」
教室への道のりの途中、私は友達に尋ねた。
「実はね、小林先生…校長にお見合い勧められてるんだって。」
「えっ…」
「ほら、うちの校長って、結婚式で仲人するのを生きがいにしてるような人でしょう?
若い先生を見つけると、無理矢理お見合い進めるのよ。」