短編集
□発展途上恋愛
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「海ちゃんっ!!」
放課後、教室の前方にあるドアが勢いよく開いた。
若干残っていた生徒たちも何事かと動きを止めた。
シーンと静まり返る教室。
ドアのところには可愛らしい男の子。
私の幼馴染が立っていた。
「海ちゃん、俺と付き合ってくださいっ!!」
通算587回目の告白。
私はドアの方に顔だけ向けるときっぱり言い張った。
「嫌。」
「……海ちゃん…?」
「嫌ったら嫌!!!」
私が強く言い張ると、幼馴染利玖はとぼとぼと帰って行った。
利玖が帰るとクラスはいつものように騒がしくなった。
奴がこうやって告白するようになって一体どれくらいの月日が経っただろう。
きっと結構長いことやってる。
「海?
アンタいい加減にしないと利玖クン取られちゃうよ?」
親友の彩夏がこっそりとため息をついた。
「だ、だって…」
「海。
何で利玖クンのこと好きなくせに意地張るのよ?」
「うぅっ…」
私は頭を抱え、机に突っ伏した。