あかいろのかぜ

□01.悲劇のヒロイン
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悲劇のヒロイン





どうして俺はいつもこうなんだろう


俺、真崎悠(まさき はるか)は長男という損な役回りに生まれたからだろうか。
毎日弟たちの世話に明け暮れ、日々母にこき使われ、部活にも入れない…

花の高校1年生なんて友達に恋愛に部活に青春まっさかり!…のハズなんだ。
なのに、高校に入学して早1ヶ月。
そろそろ周りはグループが出来始めていて、俺はというと毎日ぽつんと独りで、弁当を食べながら本を読んでいた。

校舎裏の花壇前の芝生で。


…寂しいとか、言わないで欲しい…


俺はこの場所が好きだった。
誰も来ない静かなこの空間は、教室では息が詰まり荒んだ心に癒しを与えてくれる。
昼休みの喧騒も遠く、ゆっくりと本が読めるし、花壇は誰かが手入れしているのだろう、キレイな花がいつも俺を迎えてくれる。
とても居心地の良い場所だ。

1人が良いわけではないが、周りは中学校から高校という場に入り、気分がうきうきと高潮している。
あの雰囲気はどうも苦手だ。
そして、人見知りも手伝って、人に話しかけることも出来ない。

はぁ…

俺は思わずため息を吐いた。
早く友達ができればいい…とまるで他人事のように願うばかりだ。


がさっ


「………?」

いま、なんか音がしたような…?

こんな所に人が来ることは滅多にない。
来るとすれば人に見られる事を避ける人だろう。

告白…かな?


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