短編

□てんしとあくまの話
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世界が微笑めば




おれは世界に嫌われた存在。
醜く、狡く、居てはいけない存在。
黒い羽を持ち、自分の欲求だけを追い求め、如何に自分の手を汚さずに人間を地獄に突き落とせるか。そればかりを考える。

『あくま』

そう呼ばれている。

「ミア」

おれは最近、禁忌を犯した。

おれはあくまの中でも嫌われている。
なぜなら、あくまは美しいものが好きだ。
あくま自体も美しいものが多い。
しかしおれは醜く、黒い髪を鼻のあたりまで伸ばし、服はよれよれ。
そんなおれは皆に色々な罵倒を浴びせられる。

だから、おれは逃げた。


「ミア」


おれは禁忌を犯した。

世界に嫌われた存在。
そんなおれは、寂しかった。
そして、欲しかったのだ。
微笑んで欲しかった。
誰でもいいから。

「ミア、愛してる」


この『てんし』の微笑みが、どうしても欲しかったのだ。





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